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特別裁判所(とくべつさいばんしょ)とは、特別の身分を持つ人もしくは特別の事件について、司法権を行使する裁判所をいう。通常裁判所に対する用語である。 == 概説 == === 日本国憲法上、原則禁止 === かつて、明治憲法下においては、司法権は天皇から裁判所に委任された形をとり、これが司法権の独立を意味していた。大審院・控訴院・地方裁判所・区裁判所の系統以外に、大審院に上訴できない裁判所として、軍法会議(軍隊内の裁判)、行政裁判所や皇室裁判所などが置かれていた。 第二次世界大戦後に成立した日本国憲法(昭和21年憲法)では、次の通り、特別裁判所の設置を禁止している。すなわち、司法権は、第76条第1項の規定により「最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」とし、第2項の規定により「特別裁判所は、これを設置することができない」としている。 従って、第2項において設置を禁止される「特別裁判所」とは第1項における「最高裁判所」を頂点とした司法ピラミッドに属しない裁判所(憲法第76条第1項にいう「下級裁判所」ではない裁判所、すなわち最高裁判所に対して独立した地位を有する裁判所)を意味し、最高裁判所を頂点とした司法ピラミッドに属する裁判所間において職分管轄や事物管轄などの区別をすることまでをも禁止するものではない。 *家庭裁判所は職分管轄として少年事件と家事事件のみを取り扱うが、司法権の作用に属する事件については最高裁判所系統の通常裁判所としての家庭裁判所がこれを扱うに過ぎず、また、司法権の作用に属しない事件は非訟事件の手続きの範囲で家庭裁判所が審判するに過ぎないため、いずれも特別裁判所にはあたらない。 *知的財産高等裁判所は職分管轄知的財産権に関する紛争のみを行うが、司法権の作用に属する事件を東京高等裁判所の支部としての知的財産高等裁判所が扱うに過ぎないため、これも特別裁判所にはあたらない。 *しかしながら、倒産手続きの過程で広範な裁量権を行使する再生裁判所や更生裁判所、破産裁判所は司法権の本来の作用とは異なり、一旦確定した決定を争う手段も存在しないことから、これらが特別裁判所に当たるかどうかについては争いもある。 :また、特別裁判所は「裁判を受ける権利」(憲法32条)との関係でも問題となる。 *日本の最高裁判所は法律上、違憲立法審査権を有する最高機関とされているが、実際の最高裁判所は膨大な数の上告事件の審理で多忙を極め、違憲審査の機関としてはほとんど機能していないため、日本にもドイツなどと同じく違憲審査を専門に行う最高機関としての憲法裁判所を設置する必要があるとする意見は多い。しかし、最高裁判所と対等の地位を有する独立した憲法裁判所を設置するには、日本国憲法第76条第2項の改正が必要ではないかとも指摘されている。 環太平洋戦略的経済連携協定で導入予定とされている投資家対国家の紛争解決仲裁廷は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属さない、特別裁判所の一種であると主張される事がある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「特別裁判所」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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