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狼と香辛料の登場人物 : ウィキペディア日本語版
狼と香辛料の登場人物[おおかみとこうしんりょうのとうじょうじんぶつ]

狼と香辛料の登場人物(おおかみとこうしんりょうのとうじょうじんぶつ)では、支倉凍砂の小説『狼と香辛料』に登場する人物を解説する。人物名にある「声」は、アニメ等における声の出演。
== 主要人物 ==
; クラフト・ロレンス
: - 福山潤
: 本作の主人公。ローエン商業組合に所属する25歳の行商人。12歳で親戚の行商人に弟子入りして18歳で一人立ちした。将来どこかの街に店を構えるという漠然とした夢を描くだけの孤独な行商人生であったが、パスロエ村でホロと出会い、ともに旅をすることとなった。ホロの言動に翻弄され、時には衝突しながら、ともに事件を乗り越え、次第に絆を深めていく。
: 商人としての能力は高く、「自分は一介の行商人でしかない」と自己評価しつつも困難な局面を何度も成功裏に切り抜け、結果的には大物の商人たちから一目置かれることになる。特に教育らしい教育は受けていないようだが非常に博識な人物であり、政治経済から宗教、歴史、地理、科学技術など多岐に渡る知識を持っている。また、様々なタイプの人間がこの世に居る事も知っており、男女の問題を除けば元々の人柄の良さも手伝って対人関係で失敗する事が非常に少ない
: 商人として頭の切れる一方、自ら窮地を招きホロに助けられたり、会話で一泡吹かせようとするも軽くあしらわれ「可愛い仔」扱いされることもある。商売相手としてならば女性の扱いは決して不慣れな方ではなく挨拶程度にお世辞も使えるが、肝心な所で女心が分からず、自分に対する好意には非常に鈍感である。
: バランス感覚に長じており、その判断基準は非常に常識的である反面、革新的な発想をすることはどちらかと言えば苦手であり、効率の悪い稼ぎ方に陥る場合もある。逆に論理的な推理能力は高く、僅かなヒントから隠された真実を突き止め、窮地を脱した経験も1度や2度ではない。確信を得た際の行動力には商人としても目を見張るものがあり、場合によっては敢えてあくどい手段を使ったり、必要とあらば力技を押し通したりもする。その思い切りの良さはディアナからも賞賛されている。
: これらの長所はしばしば彼を、普通なら一介の行商人が関わることなどないような大事件へと巻き込む一因ともなっており、その身を窮地に陥らせる事がある。特にホロと旅をするようになってからはまさしく波乱万丈の人生となっている。そのため罠に嵌められる事も多く、経験を積んで抜け目なくなりつつも、不可避の危機に晒されることになる場合が少なくない。
: ホロとは相思相愛で、最終巻では正式に結婚はしていないものの事実上夫婦となっており、ニョッヒラで一緒に暮らしている。
: ホロと自分の現状を脅かしかねない相手に対する警戒心が非常に強く、いちいちそう感じてしまう事はコンプレックスでもある。しかし反面、自分の下の者にはとても慈悲深く、かつて修行時代に自分が上の者にされて嫌だったことを下の者に行うことに抵抗を持ち、逆に自分が上の者にされて嬉しかったことを未だに覚えている程、どこまでも優しい人間である。
: 自己評価に反して守銭奴としての面は比較的薄く、自分一人で利益を独占するよりも、皆で分け合う方を好むといったお人好しな面があり、ホロにも時として呆れられることがある。また、「金で全てを解決する」と言う考え方を非常に嫌っており、物以外のもの、つまり心や誇りを金で買うような行為は「悪」と断じてさえいる。そのため常にフェアな取り引きを前提とし、ホロを含めた誰もが、彼を信用する原因になっている。
; ホロ
: 声 - 小清水亜美
: 本作のもう一人の主人公。普段は、亜麻色の長い髪、赤い琥珀色の瞳、可憐な面差し、鋭い犬歯、そして先の白い尻尾と立った獣耳を持つ、10代半ばぐらいの小柄で細身の少女の姿をしている。しかしその正体は、何百年もの歳を重ねた、人を丸呑みにできるほど巨大なである。北のヨイツという土地の生まれだが、そこを出て各地を経巡った末に南のパスロエの村に豊作を司る神として数百年にわたり住んでいた。しかし農業技術の発展もあって村人にないがしろにされるようになり、孤独感と望郷の念に苛まれるようになっていたところに偶然やってきたロレンスの荷車にもぐり込み、村を出た。以後、ロレンスとともに旅をするようになった。
: 「わっち(私)」「ぬし(貴方)」「…ありんす」「…かや」「…してくりゃれ」などの廓詞を使う。数百年にわたって生きてきたためか、ときおり達観した物言いをする。相手の声色から嘘を見抜いたり、触れあった硬貨の音から純度の差を聞き分けたりすることができる優れた耳を持ち、鋭い洞察力や、麦を瞬く間に成長させる能力などを有する。また、狼以外の動物(鳥、狐、鹿、熊など)と会話し使役することも可能。言われた動物も、よくそれを覚えている様子。もっとも、ロレンスと出会うまで何百年もパスロエ村に「麦の神」として居着いていたため、少々世間からズレたところもある。
: かつて「賢狼ホロ」と呼ばれ、故郷であるヨイツの地を離れてからは行く先々でその地の伝承に名を残してきたが、今は悪魔憑き人狼の類)と誤解され騒がれるのを嫌って、気を許した相手をほかにして耳や尻尾を見せることはない。なお、伝承によってはホロウという名で記録されていることもある。
: 故郷のヨイツでは指導者として頼られ、教会からは迫害を受けて追われ、村人からは神として扱われてきた彼女には、対等の立場で話のできる相手は本編までの長い間居なかった。そのため他者から畏敬されるということを好まず、ロレンスが自分に張り合ってくることを内心では喜んでいる。
: 狼の習性でものを丸呑みすることもあるが基本的には美食家。しかも、細い体のどこに入るのかと思わせるほどの大食いである。肉が大好きであり、ひとりで子豚の丸焼きを平らげてしまうほど。また甘い物にも目がなく林檎が大好物。その上に大酒飲みでもある。
: 必要となれば、生き血か数粒の麦粒を食べることで、人の姿から本来の狼の姿に戻ることができる。麦に「宿る」ことで自らの命をながらえ不死となり、その麦は腐ることなく温もりを保つという。自分が宿った麦粒を収めた皮袋をロレンスに作ってもらい、首から下げて大切にしている。
: 最終巻ではロレンスと事実上夫婦になっており、彼の子を身篭った様子である。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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