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王笏[おうしゃく] 王笏(おうしゃく、sceptre、scepter)は、君主が持つ象徴的かつ装飾的な杖であり、レガリアの一種である。職杖によく似たものもあるが、その用途は全く異なる。宝珠と組み合わせて描写されることが多い。 == 古代 ==
杖は古くから権威の象徴だった。ペルシャ王の王笏については旧約聖書のエステル記にも記述がある。古代ギリシアの笏(、skeptron)は長い杖で、アガメムノーンが振るった杖〔ホメーロス、『イーリアス』 i〕、長老らが使った杖〔ホメーロス、『イーリアス』 xviii. 46; ヘロドトス、『歴史』 1. 196〕などがある。その後、裁判官、軍司令官、神官などが権威の象徴として使うようになった。古代ギリシアの陶器の絵に金属の装飾を先端につけた長い杖が描かれている。ゼウスやハーデースが持つ王笏には鳥の装飾が先端に付いている。オリュンポスの父であるゼウスの象徴として、ケリュケス (kerykes) すなわち伝令官が現代の外交官特権にも似た不可侵性を持つことを表すのにもそれが使われた。『イーリアス』の中で、アガメムノーンはオデュッセウスをアカイア人のリーダーのもとへ行かせる際に王笏を貸している。 エトルリアでは壮麗な王笏を王や上級神官が使った。その様子はエトルリアの墳墓の壁画などに描かれている。エトルリアの精巧に装飾された金の王笏が大英博物館、バチカン美術館、ルーヴル美術館などに所蔵されている。 古代ローマの王笏はエトルリアから派生したものと見られている。共和政ローマにおいては、象牙製王笏 (''sceptrum eburneum'') が執政官の地位の象徴とされた。戦争に勝利してインペラトルの称号を得た軍司令官もこれを使い、レガトゥスの権威の象徴としての元帥杖がここから生まれたと見られている。ローマ帝国時代になると皇帝は ''sceptrum Augusti'' と呼ばれる王笏を所持していた。この皇帝の王笏は象牙製で、先端に金でできた鷲の像がついたものが多い。帝国後期のメダルには、片手に ''sceptrum Augusti'' を持ち、もう一方の手にウィクトーリアの小像がついた宝珠を持った皇帝を描いたものがよく見られる。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「王笏」の詳細全文を読む
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