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風の谷のナウシカ[かぜのたにのなうしか]

風の谷のナウシカ』(かぜのたにのナウシカ)は、宮崎駿による日本漫画作品。アニメーション監督・演出家でもある同氏が、徳間書店アニメ情報誌アニメージュ』誌上にて発表したSFファンタジー作品。科学文明の崩壊後、異形の生態系に覆われた終末世界を舞台に、人と自然の歩むべき道を求める少女ナウシカの姿を描く。1984年には宮崎自身の監督による劇場版アニメ『風の谷のナウシカ』が公開された。
『アニメージュ』1982年2月号にて連載を開始し、映画制作などのため4度の中断期間〔1983年7月号〜1984年7月号、1985年6月号〜1986年11月号、1987年7月号〜1990年3月号、1991年6月号〜1992年2月号。他にも休載号あり。〕を挟み、1994年3月号にて完結した。1994年に第23回日本漫画家協会賞大賞、1995年、第26回星雲賞コミック部門を受賞。単行本の発行部数は累計1,200万部〔本屋さんもジブリでいっぱい! 「崖の上のポニョ」公開記念フェア開催中 、徳間書店、2008年7月17日。〕。海外でも8か国語で翻訳・出版されている。
== あらすじ ==

文明を崩壊させた「火の7日間」という最終戦争から1000年、激しく汚染された大地に異形の生態系(巨大な菌類の森「腐海」や、腐海を守る「蟲」と呼ばれる巨大昆虫たち)が出現し、日々範囲拡大する腐海の放つ瘴気毒に人々が怯える荒廃した世界が描かれている。この世界に存在する、トルメキア土鬼(ドルク)という敵対する二大列強国と、その辺境地にあるトルメキアの同盟国「風の谷」および、工業都市ペジテ市が主な舞台となっている。風の谷の族長であるジルは腐海の毒に侵されて病床にあり、父の代理で国を治める16才の娘「ナウシカ」が主人公である。
ある日、ペジテからの避難民を乗せた輸送船が風の谷の近くに墜落する。輸送船に搭乗していた瀕死のペジテ王女ラステルは、救援に駆け付けたナウシカにとある石を託し、兄に渡してほしいと懇願して事切れる。その石は、終末戦争で使われた生物兵器巨神兵を起動させる鍵となる「秘石」であった。翌日、巨神兵を得ようとペジテを滅ぼしたトルメキア王女クシャナが、秘石の捜索のため風の谷に飛来。検疫を受けないままの強行着陸をとがめたナウシカはクシャナの部下と一騎打ちを演じるが、ナウシカの師匠でもある旅の戦士ユパの仲裁で停戦し、クシャナ達は谷を去る。やがてトルメキアと土鬼の間に戦争が勃発すると、同盟条約を盾にトルメキアは辺境諸国に従軍を強いる。ナウシカは族長代理として、数名の従者とともにクシャナ支隊へ合流する〔単行本 ワイド版 第一巻〕。
土鬼の地へ向けて南下するクシャナ支隊の空中艦隊を、ラステルの兄「アスベル」のガンシップが単機で奇襲し、多大な損害を与えるもトルメキア軍に撃ち落される。乱戦の中で風の谷の無動力輸送船は、戦列を離れて腐海に不時着する。輸送船を回収するために降下したナウシカは、同じく腐海に墜落して蟲に追われるアスベルを救出したものの、蟲との接触事故を起こしてマスクが外れたまま腐海の下層部に迷い込む。ナウシカはそこで、腐海下層部の大気が清浄であることを発見する。そして、自身が城の地下で地下水だけで栽培している無害な腐海植物のと共通点を見出し、腐海は汚染された世界を浄化する目的で存在しているという機序に気づく〔単行本 ワイド版 第一巻〕。
劣勢の土鬼軍は、腐海の植物を生物実験する過程で突然変異により生まれた強力な粘菌を生物兵器として使用した。この粘菌の出す毒は瘴気マスクでは浄化できず、蟲を死に至らせるほど強力であり、土鬼はトルメキア軍を撃退することに成功した。しかし、粘菌は各所で突如暴走し始め、事態は収拾不能になる。蟲達はかねてからこの粘菌の存在を察知しており、蟲達は暴走した粘菌に向かって大量に集結した。大量の蟲が移動する現象は物語中で大海嘯とよばれており、移動する虫から放たれた腐海の胞子が、蟲の死骸を介して広がり、腐海の領域をより拡大してしまう。結果、土鬼の主要な国土はほとんど滅亡するに至った。ナウシカは秘石により、土鬼軍がトルメキア軍から奪取していた巨神兵を起動させる。巨神兵は人格を持っており、ナウシカは母性を象徴する存在として巨神兵をオーマと名づける〔単行本 ワイド版 第二巻~第六巻〕。
ナウシカは、土鬼の地を探索するうちに、『森の人』と呼ばれる種族に出会う。彼らとの関わりの中で、巨神兵や腐海の植物や蟲たちが旧世界で開発された人工生命であること、その目的は腐海システムによる環境再生であることが判明する。腐海システムは、世界を完全に浄化したあと、火の七日間によって絶滅に瀕した動植物や、闘争本能を去勢改造した新人類を復活させ、地上に再繁栄させることを目的としているのだった。ナウシカは現在の人類が、腐海に「軽度に汚染」された環境下で生存できるよう旧文明人類が改造を加えられた人工種であって、浄化の完了した清浄過ぎる世界では生存できない、という事実を知る。
それを聞いたナウシカは、土鬼帝国の首都シュワにある「墓所」と呼ばれる遺跡を封印するために乗り込んでいく。墓所は旧世界の技術を保存し、それ自体が意識を持つ人工生命体でもあり、その人格である「墓の主」は、浄化が終わった後の戦争のない理想郷について語り、ナウシカ達改造種も長年の再調整プロセスによって生存し続ける計画になっていると告げる。しかしナウシカはその清浄のみを追求し一切の汚濁を認めぬ旧文明側の計画内容に反発、否定し、オーマに遺跡を破壊させ、墓所は墓の主や新人類の卵を含めて全滅した。それが作られた計画よりも自然と共に生きるナウシカの選択であった。〔単行本 ワイド版 第七巻〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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