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現存艦隊主義[げんぞんかんたいしゅぎ] 現存艦隊主義(げんぞんかんたいしゅぎ)とは、決戦を避けて自軍の艦隊を温存することにより、艦隊の潜在的な能力で敵国の海上活動を妨害する海軍戦略である。フリート・イン・ビーイング()の訳語で、艦隊保全主義(かんたいほぜんしゅぎ)とも言う。 == 語源 == 「フリート・イン・ビーイング」の言葉を最初に用いたのは、17世紀のイングランド海軍の提督トリントン伯アーサー・ハーバートである〔外山(1981年)、233頁。〕。ハーバートは、大同盟戦争初期にイギリス主力艦隊の司令長官を務め、1690年6月にフランス艦隊と遭遇した際に消極的な退避行動をとった末、女王メアリー2世の命令でようやくビーチー・ヘッドの海戦(en)を戦ったが、敗れた〔小林(2007年)、232-233頁。〕。本国に帰還したハーバートは敗北責任を問われて軍法会議にかけられると、「私が常々述べているように、わが方が健在な艦隊を保有している限り、彼らフランス側はイギリス本土侵攻を試みるはずが無いのです。(“I always said that whilst we had a fleet in being, they would not dare make an attempt.”〔英文の出典:外山(1981年)、247頁 ; Robinson, Mary L., ''The History of Naval Tactics from 1530 to 1930'', United States Naval Institute, 1942.〕)」と、自己の消極的な指揮を弁明した。 このハーバートの言葉が、以後そのまま戦略についての軍事学用語として定着した〔外山(1981年)、234頁。〕。
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