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生命倫理学[せいめいりんりがく]
生命倫理学(せいめいりんりがく)とは、生命に関する倫理的問題を扱う研究分野。生物学、医学、薬学、政治学、文化人類学、法学、哲学、経済学、社会学、心理学、宗教学など様々な分野と関連がある。ヒトの生命すなわち人命に限らず、動植物など全ての生命体を対象とする。 原語の「バイオエシックス」(bioethics) という言葉は、「生命」を意味する「バイオ」と「倫理(学)」を意味する「エシックス」を結びつけた言葉で、ガン研究者のポッター (Van Rensselaer Potter) が、「生存の科学」(the Science of Survival) としての「バイオエシックス」を提唱した。1970年代初めにアメリカで使われ出し、元来の意味から離れて広まっている〔Van Rensselaer Potter, ''Bioethics'', Prentice Hall, 1971 ISBN 0130765139 なお、提唱者ポッターと、その後のバイオエシックスの語義の拡大、日本へのこの語の「輸入」については、土屋貴志「『bioethics』から『生命倫理学』へ - 米国における bioethics の成立と日本への輸入 - 」、加藤・加茂編、世界思想社、1998年、に詳しい。〕。 == 概要 == 1970年頃アメリカで作られたバイオエシックス(bioethics)という概念を日本に導入する際に当てられた訳語。安楽死に関する医学的論議は古くから行われてきた。また、最近の医学、遺伝子工学の発達により、倫理学的な考察を必要とする診断、治療、実験が多くなってきている。バイオエシックスは,バイオテクノロジーの発展により生命の意味が揺らぎ始めたことから,新たな倫理を構築しようとする運動として始まった。人工妊娠中絶問題は,欧米のバイオエシックスではそもそものバイオエシックスの形成を促した重要なトピックスだが,人の生命に関わる倫理的問題としては着床前診断等の遺伝子診断、人工妊娠中絶、代理母出産、脳死、臓器移植、安楽死・尊厳死、インフォームド・コンセント、終末期医療、看護倫理、ヒトクローン研究などがある。より生物学的には実験動物の扱い、遺伝子組換えによるバイオハザードの規制、遺伝子組換え作物による遺伝子汚染などがある。 医学や生命についての知識が必要なことから、医療関係者の意見が重視される。〔このような専門知識における専門家(医師)と素人(患者)の知識格差をめぐる関係については、パターナリズム論において議論されている。本田裕志「医療におけるパターナリズム」、篠崎・加茂編、世界思想社、1989年、を参照。〕。従来生命科学領域は医学や歯学、薬学などの研究領域であり、明確な資格などが存在するため、必然的に医師など国家資格所持者の割合が多くなる。しかしながら、敬虔なキリスト者である医師が人工妊娠中絶に対して反対の意思を表明する〔菊田昇を参照。〕ように、特定の思想的・宗教的信念を抱いた医療関係者による研究活動や社会的活動も行われている。 学術団体としては、日本生命倫理学会などがある。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「生命倫理学」の詳細全文を読む
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