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ビオトープ

ビオトープ()あるいはバイオトープ()は、生物群集の生息空間を示す言葉である。日本語に訳す場合は生物空間(せいぶつくうかん)、生物生息空間(せいぶつせいそくくうかん)とされる。語源はギリシア語からの造語((命) + (場所))。転じて、生物が住みやすいように環境を改変することを指すこともある。
== ビオトープの定義 ==
ビオトープとは生物の住息環境を意味する生物学の用語であるが、前述の通りドイツで生まれた概念であり、ドイツ連邦自然保護局ではビオトープを「有機的に結びついた生物群。すなわち生物社会(一定の組み合わせの種によって構成される生物群集)の生息空間」と位置づけている。別の表現をするならば「周辺地域から明確に区分できる性質を持った生息環境の地理的最小単位」であり、生態系とはこの点で区別される。つまり、ビオトープ(環境)とその中で生息する生物群集(中身)によって、生態系は構成されていると言うこともできる。日本においても自治体が行う事業に「ビオトープ」という語を用いる場合にはこういった発想が一般に援用されている。
沼田真の著書『生態学方法論』改稿版 (1967年、グローバル・シリーズ, 古今書院、
ASIN: B000JA8666)によると、この用語は、1908年に動物学者のフリードリヒ・ダールが論文「生物共同体の研究の基礎と概念」で、科学での学術用語に導入したのを発祥としている。こうして生態学の分野で、ある生物群集の生活空間、という意味で用いられていったビオトープというギリシャβiοs BIOS「人生」とτοποsトポス「市」という合成語がコミュニティの特定の生息地である生物群集地に立脚した、最小単位である生物圏を表しており、自然保護と景観保全生息地の分野で実用的な視点で生息地タイプが関連付けられているとしている。植物地理学者シュミットヒューゼン著で宮脇昭が翻訳した『植生地理学』(朝倉書店、1968年、ASIN: B000JA5KE2)によると、生活地または生地(Biotop)という用語はある定まった現存生物共同体の生育地を指していると定義している。つまりビオトープは地形、気候、水など一定の環境条件の元にあってひとつの生態系をなす生物共同体の生活空間とみなすことも可能である。
生物学における用法では、例えばヘイケボタルが生息する典型的な環境をヘイケボタルのビオトープと呼ぶ。そこには、気象条件、地勢や水系の特性、他の生物の生息状況などが含まれる。ただし、この言葉は特に生態系との違いが明確ではなく、どちらでも使える場合もあり、現在では生態学の用語として使われる場面は多くない。生態学の分野で使われる場合にも、以下の用法で使われている例が多い。これに対して、この用語を積極的に用いるようになったのは、自然の開発の仕方の反省にたった所から始まる。特にヨーロッパにおいて、人工的に形作られた河川などの形態をより自然に近い形に戻し、それによって多様な自然の生物を復活させるとともに、本来の自然が持っていた浄化・修復能力を利用する、といった観点から、近自然河川工法という言葉が使われるようになった。つまり、これまでは機械的に形作られてきた河川護岸を、生物の生息場所であると意識し、それを積極的に利用する方法が始められたのである。このような、人為的に多様な生物的環境を創造する試みのことを、エコアップなどと称する場合もある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「ビオトープ」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Biotope 」があります。



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