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任侠[にんきょう]

任俠(にんきょう)とは本来、仁義を重んじ、困っていたり苦しんでいたりする人を見ると放っておけず、彼らを助けるために体を張る自己犠牲的精神を指す語。仁俠(じんきょう)義俠心(ぎきょうしん)俠気(きょうき)男気(おとこぎ)などともいう。
== 中国における任俠 ==
中国での任俠の歴史は古く、中国春秋時代に生まれたとされ、情を施されれば命をかけて恩義を返すことにより義理を果たすという精神を重んじ、法で縛られることを嫌った者が任俠に走ったとされる。戦国四君食客や任俠の徒を3千人雇って国を動かしたとして各国から評価され、四君の中でも特に義理堅い信陵君を慕っていた劉邦は、任俠の徒から皇帝にまで出世した。この任俠らを題材にしたのが『史記』の「遊俠列伝」である。登場人物の朱家は有名で、貧乏ながらも助命をすることが急務とし、そのことで礼を言われることを嫌っていたために名声が高かったという。以後、任俠は庶民の間で地位を得、権力者の脅威となったという。任俠に武術を取り込んだ『武俠小説』は現代でも人気が高い。
なお、『史記』「遊俠列伝」の著者である司馬遷は、「『仁俠』の志を知らずに彼らをヤクザチンピラなどと勘違いして馬鹿にするが、それは悲しいことだ」と述べている。
中国は広大な面積と複数の言語や民族が存在するので、地方においては法の権威が及ばない、あるいは中央の監視が行き渡らないため人民が地方官僚の暴政に悩むという背景の中、任俠とは庶民の中にあり圧政や無法地帯の馬賊から庶民を守る正義の味方という側面があった。そこから、法に頼らない個人レベルとしての恩に対する義理や義兄弟の忠誠が強調され、賊であっても義賊であることも可能であった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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