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異時点間CAPM : ウィキペディア日本語版
異時点間CAPM
異時点間CAPM(いじてんかんキャップエム、)とは、金融資産の期待収益率のクロスセクション構造を記述するための理論。ICAPMとも言う。ロバート・マートンにより1973年に発表された。静学的なモデルであった資本資産価格モデルに動学的な構造を取り入れたモデルであり、資産価格モデルの類型の一つであるマルチファクターモデルの理論的基礎と見なされ、資産価格理論においては基本的な理論モデルの一つである。
== 概要 ==
ICAPMの下では任意の金融資産 i の(瞬間的な)期待収益率 \alpha_i は次の式により決定する。
:\alpha_i - r = \beta_(\alpha_M - r) + Hedge_i
ここで r債券金利、つまり安全利子率で、\alpha_M市場ポートフォリオの(瞬間的な)期待収益率である。また \beta_ は各金融資産 i に個別の係数であり、 Hedge_i も同様に各金融資産 i ごとに異なる項である。
ICAPMの重要な仮定として金融資産の収益率の平均と分散が時間によって変動するということがある。その平均と分散の時間的変動は状態変数と呼ばれる変数の変動により決定される。収益率の平均と分散が定数ならば任意の金融資産についてそのヘッジ項は常に0であり、その場合は資本資産価格モデルと同様の式で金融資産の期待収益率のクロスセクション構造が決定する〔。ヘッジ項は将来の収益率の平均と分散の変動という不確実性に対する投資家の反応を表している。そのような反応を投資機会集合()の変動に対する反応と言う〔。
また状態変数の総数が S 個であり、それらの変動をある S 個のポートフォリオの収益率で複製可能である時、ポートフォリオ s の(瞬間的な)期待収益率を \alpha_s とすると、任意の i についてのヘッジ項 Hedge_i は次のように書ける。
:Hedge_i = \sum_^S\beta_(\alpha_s - r)
ここで \beta_ は各資産 i で異なる係数である。よってこの仮定が満たされる時、ICAPMは以下のようなマルチファクターモデル()としての表現を持つ。
:\alpha_i - r = \beta_(\alpha_M - r) + \sum_^S\beta_(\alpha_s - r)
このようなポートフォリオ s=1,\dots,S を状態変数模倣ポートフォリオ()と呼ぶ。
特に状態変数の数が一つで、その状態変数とある金融資産 n の収益率が完全に相関するならば、任意の n を除く金融資産 i の瞬間的な期待収益率について次が成立する〔。
:\alpha_i - r = \frac(\alpha_M - r) + \frac(\alpha_n - r)
ここで \sigma_i,\sigma_n,\sigma_M はそれぞれ資産 i,n と市場ポートフォリオの収益率の瞬間的な標準偏差であり、\rho_,\rho_,\rho_ は収益率の瞬間的な相関係数を表している。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「異時点間CAPM」の詳細全文を読む



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