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直方隕石 : ウィキペディア日本語版
直方隕石[のおがたいんせき]
直方隕石(のおがたいんせき)は福岡県直方市に落下した隕石である。「ちょくほういんせき」と読まれることもあるが、正しくない。2014年現在、世界最古の落下の目撃記録のある隕石である。
貞観3年4月7日ユリウス暦861年5月19日)の夜、武徳神社(今の須賀神社)境内に落下。翌日、深くえぐられた土中から黒く焦げた石が掘出され桐箱に納めて保存したという地元の伝承が残っている。隕石が納められていた桐箱の蓋の裏には「貞観三年四月七日ニ納ム」という墨書がある。重量472gのL6-コンドライトの石質隕石である。
隕石は現在も須賀神社に保管されており、5年に一度、10月の「神幸大祭」の際に一般公開される(次回は2016年)。1992年、神社の境内に記念碑が立てられた。なお、神社には隕石のレプリカがあり、一般公開されている。
== 「世界最古の落下目撃隕石」確定までの経緯 ==
1922年大正11年)に筑豊鉱山学校の初代校長・山田邦彦により隕石だと鑑定されたが、学術雑誌への発表がなく、山田の急逝により長く知られないままになっていたともいわれる〔『天文ガイド』2012年2月号、83頁。〕。須賀神社には大正13年3月の日付のある鑑定書の写しが現存する〔。
1979年9月19日、地元のラジオ番組「九州むかし話」で須賀神社に伝わる「飛石」の伝説〔地元の郷土史家・舌間信夫がまとめ、自著『直方むかしばなし』に記している。舌間は、村山定男らによる直方隕石の調査にも協力した。〕が紹介され、それを知った研究者により「須賀神社の『飛石』とは隕石落下の話ではないか」と考え、調査が開始された〔『天文ガイド』2012年2月号、86-87頁。〕。国立科学博物館の理化学研究部長・村山定男らの鑑定により、世界最古の隕石落下目撃記録であることが1981年になって確認された。
伝承や桐箱に記された年月日が正確であれば、落下の目撃記録がありかつ標本が現存する隕石としては当時日本最古とされていた寛永9年(1632年)落下の南野隕石や当時世界最古とされていた1492年落下のエンシスハイム隕石よりも古い世界最古のものと考えられたが、桐箱以外に年代を裏付ける史料や正確さを示す資料は発見されず、科学的手法による年代測定が試みられた〔『天文ガイド』2012年2月号、85-86頁。〕。その後、宮司の許可を得て桐箱の一部を削り取り放射性炭素年代測定を行ったところ西暦410±350年という年代が得られたことで伝承や箱書の日付が裏付けられ、世界最古の落下目撃隕石として正式に認められた〔『天文ガイド』2012年2月号、86頁。〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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