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真夏の死[まなつのし]
『真夏の死』(まなつのし)は、三島由紀夫の短編小説(作者・三島はノヴェレット〔“Short story”(短編)ではなく中編小説〕としている〔)。伊豆の海岸で二人の幼子を失うという理不尽な悲劇から主人公がいかなる衝撃を受け、時の経過によってこれから癒え、癒えきったのちのおそるべき空虚から、いかにして再び宿命の到来を要請するかという主題から、人間と宿命の関係を描いている〔三島由紀夫「自作解説」(『真夏の死 自選短編集』)(新潮文庫、1970年。改版1996年)〕。エピグラフには、ボードレールの『人工楽園』の一節が使われている。 1952年(昭和27年)、雑誌『新潮』10月号に掲載され、翌年1953年(昭和28年)2月15日に創元社より単行本刊行された。同書には他に5編の短編が収録されている。現行版は新潮文庫で刊行されている。 1967年(昭和42年)度のフォルメントール国際文学賞 (Formentor Literature Prize)では、英訳版『真夏の死 その他』(“Death in Midsummer and other stories”)が第2位を受賞した(同時収録作は、「百万円煎餅」“Three Million Yen”、「魔法瓶」“Thermos Flasks”、「志賀寺上人の恋」“The Priest of Shiga Temple and His Love”、「橋づくし」“The Seven Bridges”、「憂国」“Patriotism”、「道成寺」“Dōjōji”、「女方」“Onnagata”、「真珠」“The Pearl”、「新聞紙」“Swaddling Clothes”」)〔『決定版 三島由紀夫全集第42巻・年譜・書誌』(新潮社、2005年)〕。他の候補作には、三島の『午後の曳航』や安部公房の『他人の顔』もあった〔〔この年度の第1位作品はヴィトルド・ゴンブローヴィッチの『コスモス』だった〕。 == 作品構成 == 『真夏の海』は、伊豆今井浜で実際に起こった水死事故を下敷きにして組み立てた小説であるが〔、三島由紀夫はその「眼目」を「最後の一行にある」と述べている〔。そして方法論として、この最後の「一点を頂点とした円錐体をわざと逆様に立てたやうな、普通の小説の逆構成」を考えたとし〔、これは、「通常の意味での破局(カタストロフ)が冒頭にあり、しかもその破局には何の必然性」もなく、「その必然性としての宿命が暗示されるのは最後の一行」であると説明しながら、これが通常のギリシャ悲劇であれば、この最後の一行から始まり、「冒頭の破局を結果とすべき」ところを、『真夏の死』では、それを「わざわざ逆様」に構成したと自作解説している〔。 三島はこのような『真夏の死』の構成意図について次のように述べている。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「真夏の死」の詳細全文を読む
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