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磁気再結合 : ウィキペディア日本語版
磁気リコネクション[じきりこねくしょん]

磁気リコネクション
(じきりこねくしょん、: Magnetic reconnection)(磁気再結合)は高い伝導性を持つプラズマ中で磁場のトポロジーが再配置され、
磁場のエネルギーが運動エネルギー熱エネルギーに変換される物理過程である。
磁気リコネクションが起こる時間スケールは磁気拡散の時間とアルヴェーン波の伝搬時間の間である。
磁力線は異なる磁区により区切られているが、磁力線の繋ぎ変えが起こり様式が変わる。これが磁気リコネクションの定量的記述である。
太陽フレア太陽系のなかで最も大きな爆発現象であり、
太陽の磁束が起こす数分の磁気リコネクションで数時間から数日の間に蓄積された磁場エネルギーが開放される。
地球磁気圏の磁気リコネクションはオーロラを発生させる。
実験室では核融合を制御するために重要な物理過程であり、磁気リコネクションは核燃料の磁気閉じ込めを妨げる。
電気伝導プラズマでは磁力線は束で場所から別の場所へと繋がっている磁区に分けられる。
電流や外部の磁場により強い変動を受けてもこのトポロジーは近似的に保存される。
渦電流を生じるため磁力線のトポロジーの変化を打ち消すためである。
2次元の磁気リコネクションでは磁区が右の図のように分かれた’’’separator reconnection’’’が典型的である。
右の図では4つの磁区に分かれている。磁力線は画面外の磁極から磁極まで伸びている。
別の磁区ではおのおの別の磁極に繋がっている。
separator reconnectionでは二つの磁区から磁力線が入り、他の二つの磁区へ磁力線が出ていく。
抵抗磁気流体力学(resistive MHD)の理論によると、磁気リコネクションは磁場を支えている電流シート近傍のプラズマ電気抵抗のため起こる。
その電流はマックスウェル方程式から与えられる。
: \nabla \times \mathbf = \mu \mathbf + \mu \epsilon \frac.
電流シートの電気抵抗が磁束をシート層で散逸することができる。
二つの境界の磁場を相殺することで。
これが起こるとプラズマは磁気圧力により押し出される。
磁気圧が小さくなるため中心の領域から引き出され、磁束が中心領域に入る。
現在のプラズマ物理の問題は、観測された高リンクエスト数(Lundquist number)(磁気レイノルズ数(magnetic Reynolds number))のリコネクションが起こる速度がMHD理論が与える時間と比べて非常に早いことである。
磁気リコネクションが起こる時間が、13~14桁も計算と異なる。
また、乱流や運動学的効果を含めた計算でも時間スケールの数桁違いが見られる。
この矛盾点を説明する競い合う2つの磁気リコネクション理論がある。
一つの仮定として考えられているのは、境界面の電磁乱流が電子を強く散乱しプラズマの局所抵抗が大きくする。そのため磁束の散逸が早くなるというものである。
==磁気リコネクションの理論==

===スイート・パーカーモデル===

1956年、ペーター・スイートは逆方向の磁場配置を持つプラズマが磁気散逸を起こし、
平衡スケールよりも非常に短くなると抵抗散逸が起こると指摘した。
〔Sweet, P. A., The Neutral Point Theory of Solar Flares, in IAU Symposium 6, Electromagnetic Phenomena in Cosmical Physics, ed. B. Lehnert (Dordrecht: Kluwer), 123, 1958〕
エルディ・パーカーはこの会議に出席していた。彼の旅帰りの間にスケール則を発展させた。
〔Parker, E. N., Sweet's Mechanism for Merging Magnetic Fields in Conducting Fluids, J. Geophys. Res., 62, 509, 1957〕
スイート・パーカーモデルは時間に対して独立な(つまり定常な)磁気リコネクションを説明するモデルである。
抵抗MHDフレームワークで反対方向の磁場を持つプラズマを考え、このときリコネクションには粘性と圧縮が重要ではなくなる。
理想オームの法則は次の関係を与える。
: E_y = V_ B_
ここでE_y は画面に対して垂直方向の電場である。 V_はインフロー速度、B_ 上流の磁場強度である。 低周波数ではアンペールの法則変位電流の効果は無視でき \mathbf = \fracは次の関係を与える。
: J_y \sim \frac,
ここで \delta は電流シートの厚さの半分の長さである。 上の関係式では磁場が反対方向となる距離 \sim2\deltaを用いた。
層の外側の理想電場と層内部の電気抵抗電場より \mathbf=\eta\mathbfが成り立ち層内では次の関係が成り立つ。
: V_ \sim \frac,
ここで\etaはプラズマ抵抗率である。層へ入るプラズマと出てくるプラズマの質量保存より
: V_L \sim V_\delta,
ここで L は電流シートの半分の長さ。 V_ はアウトフローの速度である。
左辺と右辺はレイヤーに入出するの保存を表している。上流の磁気圧と下流の力学圧力の釣り合いより
: \frac \sim \frac
ここで \rho はプラズマの質量密度である。よってアウトフローの速度を求められる。
: V_ \sim V_A \equiv \frac
ここでV_Aアルヴェーン波の伝播速度である。 無次元のリコネクション率は次のように表される。
: \frac \sim \frac
ここで無次元のリンクエスト数 S (磁気レイノルズ数)は次の式で与えられる。
: S \equiv \frac.
リコネクション率はグローバルな拡散よりずっと速くなる。しかし、太陽フレアや実験室プラズマで観測される速いリコネクション率を説明することができない。追加すると、スイート・パーカーリコネクションは三次元効果、無衝突の物理、時間に依存した効果、粘性、圧縮性、下流圧力を無視している。二次元の数値シミュレーションの結果はスイート・パーカーモデルを支持している。
〔Biskamp, D., Magnetic reconnection via current sheets, Physics of Fluids, 29, 1520, 1986〕
Magnetic Reconnection Experiment (MRX) の実験結果の衝突リコネクションは圧縮性、下流圧力、異常抵抗を含む一般化されたスイート・パーカーモデルと合致している。
〔Ji, H., M. Yamada, S. Hsu, R. Kulsrud, T. Carter, & S. Zaharia, Magnetic reconnection with Sweet-Parker characteristics in two-dimensional laboratory plasmas, Physics of Plasmas, 6, 1743, 1999〕

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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