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神経ガス : ウィキペディア日本語版
神経ガス[しんけいがす]

神経ガス(しんけいガス)または神経剤(しんけいざい)は有機リンの一種で、神経伝達を阻害する作用を持つ化合物の総称である〔生物・化学兵器への公衆衛生対策 WHOガイダンス WHO専門家による生物・化学兵器の健康影響 世界保健機関 1970年 第2版,P152-159 〕。神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する酵素アセチルコリンエステラーゼの働きを阻害することにより、神経伝達を阻害する。慣習的に「神経剤」と呼ばれているが、脳内の中枢神経感覚神経に対する作用は弱く、実質的には筋肉の正常な動きをできなくするコリンエステラーゼ阻害剤〔であるため、神経毒ではなく酵素毒に分類されることがある。化学兵器毒ガス)としても認知されており、国際連合から大量破壊兵器としての指定も受けている。1993年に締結され1997年4月29日に発効した化学兵器禁止条約により、多くの国で製造と保有が禁止されている。
曝露すると瞳孔の収縮、唾液過多、痙攣尿失禁便失禁などが毒性症状として表れ、最終的には呼吸器の筋肉が麻痺し窒息死する。ある種の神経ガスは気化しやすい、あるいはエアロゾルになりやすい。体内への主要な侵入経路は呼吸器系であるが、皮膚からも吸収されるため、安全に取り扱うには防毒マスクを含む全身防護服が必要となる。
== 生物学的な効果 ==

名前の通り、人体の神経系を攻撃する。具体的には筋肉を収縮する神経伝達物質の伝達を阻害し、筋肉の活動を停止させてしまう。
神経ガスに曝露した時の初期症状としては、鼻水が出て、呼吸が苦しくなり、瞳孔が収縮するといったものがある。症状が重くなると呼吸困難となり、吐き気、唾液過多となる。さらに重くなると体全体が麻痺し、嘔吐や失禁などの全身症状が現れる。これらの症状は筋肉の収縮と痙攣が原因となっており、最終的には昏睡状態となり痙攣を起こして窒息死する。
神経ガスの影響は長期に渡り、累積性もある。死を免れた場合でも、一旦現れた障害は長期に渡って残存する。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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