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空包 : ウィキペディア日本語版
空包[くうほう]

空包(くうほう)は、小火器に用いる弾薬の一種であり、内部に火薬が収められているが、弾頭散弾などは詰められていない。発射時、空包は閃光や発射音を作り出す。空包は、しばしば演技(歴史的事件の再演、演劇映画特殊効果)や訓練、信号(競技に使用するスターティングピストル)に用いられる。空砲は、訓練や小火器の作動試験に使われる、推薬や雷管を除去した不活性な軍用模擬弾とは異なる。
特殊な空包はまた、その射出力によって、野外でのさまざまな建築や射撃競技、に用いられている。
== 使用法 ==

空包は通常、発砲の音響と閃光が必要で、一方で弾丸等を飛ばすと危険な場合に使用される。軍隊の演習や儀式、映画で必要とされる銃撃戦や、競技開始の信号に使われるスターティングピストル、あるいはカウボーイ乗馬射撃のようなスポーツ用途である。通常、軍隊で空包を演習に使用するには、特別な空包用アダプターを自動火器に装着する。これは、空包から発生する燃焼ガスを圧縮し、自動火器が継続的に作動するために十分な時間と薬室への高い圧力を維持する。また空砲用アダプターは、燃え残った火薬や後述のワッズ(火薬の栓)が前方へ直接飛び散るのを防止する。映画における使用では、しばしば特別に設計された空包が小火器で射撃されるが、これは、実弾では安全のための許容量から充填できない火薬の分量を増強している。ファイブ・イン・ワン方式の空包は、小火器の連続作動のために設計されたもので、さまざまな種類の小火器の薬室に適合し、通常は劇的な効果のために実銃から射撃される(ファイブ・イン・ワン空包は、38-40口径および44-40口径のライフルや、38-40口径、44-40口径、そして西部劇で使われる45口径のリボルバーでも動作するよう設計された)。
弾薬装薬の燃焼による推進力が必要とされるが、発射体は必要ない用途向けに、特別な空包が使用された。ライフルグレネードの投擲のために空包がよく用いられた。とはいえ、いくつかの形式のライフルグレネードは、内部を弾丸が通過できるバレットスルー構造を採用しているので、空砲ではなく実弾を使用できるように作られていた。より大きな空包は、モスバーグM500散弾銃のライン投射キットのように、綱を投射する銃にも用いられる。
空包におけるリムファイア(縁打ち式)カートリッジは、通常「パワーロード」と呼ばれている。これらは、いくつかの釘打ち銃で使われており(ネイルガン)、火薬の燃焼ガスが重たいピストンを前進させて釘を叩き出す、その力は釘全体がコンクリートに埋まり込むのに十分なほどである。
いくつかの様式の早射ち大会では、特別な空包を使用する。これは、層状に緩燃性のライフル用発射薬を詰め、先端には薄く速燃性の拳銃用発射薬を詰めている。拳銃用の発射薬は緩燃性のライフル用発射薬に点火し、発砲炎は散弾銃の実包のように銃口の外へ出る。燃える火薬は完全に燃焼する前に数ヤードほど飛び散るだけであるが、これは、大会で的に使われる風船を燃えあがらせるのには十分な威力を持っている。またワックス製の弾丸は、非致死性の投射物が必要とされるこうした大会や訓練では普通に使われている。
銃殺刑においては、射撃隊のうちの一人に空包を使わせることがある。死刑執行の射撃隊にランダムに選ばれてしまった各兵士にとっては、誰か一人には空包が渡されているという事実は「自分は実弾を撃たなかったかもしれない」ということから気休めとなるかもしれないという心理的効果を狙ったものであった。この習慣は、薬莢式の武器以前にさかのぼるもので、前装式マスケットの場合は、球状の弾丸なしで装填がなされた。しかし、実際には反動が異なることから、射手にとって空包であったか実弾であったかは明白であった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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