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空売り(からうり、)は、投資対象である現物を所有せずに、対象物を(将来的に)売る契約を結ぶ行為である。商品先物や外国為替証拠金取引でも用いられる用語だが、差金決済を前提としたこれらの市場では売り買いとも「空(から)」である事が前提であるため端的に「売り」「ショート」(short)と呼ぶことが多い。対象物の価格が下落していく局面でも取り引きで利益を得られる手法のひとつ。「信用売り」「ハタ売り」も同義語である。対義語は「空買い」。 == 概要 == 元々の「空売り」とは、対象物を保有していない状態で特定期日に対象物を特定価格で手渡すと約束する対象物の「信用売り」を指した。当然、この契約を遂行するために決済期限前までに対象物を探すことになる。ここでもし決済猶予期間に対象物の価格が契約価格よりも値下がりすると、対象物を安値で仕入れて契約時の高値で決済することになるので差額の利益が生まれる。逆に対象物の価格が値上がりしていると、高値で買い取って安値で手放すことになるので損となる。 現在の株式市場での「空売り」とは証券の保有者から証券を借りて市場で売り、証券の返却期日前に証券を買い戻す行為を主に指す。この場合は株の貸借の返済期日(制度信用:半年、無期限信用の場合無期限)までに証券の価格が値下がりすると証券を安値で買い戻して高値で決済することができるので、差額による利益が生まれる。 一般の投資家は証券会社を通じて株券を借りて売ることになるが証券会社は証券金融会社を通じて他の証券会社や機関投資家、信託銀行などから借り受けることで調達する。また機関投資家が直接大口株主と株券の貸借(株券消費貸借)契約をおこない、そのさい借りた株券を売却することもある。 英語においては証券を一定期間借りて市場で売り証券の返還日前に買い戻す行為をShort Selling、株を借りずに売りの契約を結ぶ行為をNaked Short SellingあるいはNaked Short(裸売り)とよぶ。裸売りの場合は手渡す株を確保(Locate)していない段階で売りの契約を結ぶので株の引渡し前に手渡す株を市場で探すことになるが、株が市場に売りに出されておらず見つからない場合はFailure To Deliver(契約不履行)となる。元々の「空売り」の意味はNaked Short Sellingのほうが近い。Naked Short Sellingはまさに空(信用)の売りであるので多くの証券市場で法的な制限が存在する。 Short Sellingの場合は取引高が借受け(Locate)できる現物の株の数に限定される。一方でNaked Shortの場合は理論上は現時点で市場に出回っている現物株の数と関係なしに信用売りの契約を結ぶことができる(発行済株式総数を上回る株数を売ることも可能)という違いが存在する。 正当な市場の動向の予測による株取引を行い利益を得ることは現在でも問題は無いが、自ら膨大な空(から、証券無保有)の契約を結び市場の価格を暴落させて無理やり自らに有利な相場を作って利益を稼ぐ行為は証券価格の適正価格からの遊離、さらには証券市場や実体経済の混乱を招くため不法な「価格操作」として法的に規制されている。過去には仕手戦においてNaked Shortの「空売り」が横行し、空売りは投機行為の代名詞となり空売りという言葉自体にネガティブなイメージを持たれるようになった。現在では空売りに対して様々な法的規制が存在し、空売りといえばほとんどの場合は借り受け売りのことを指すようになった。一方で空売りは現物株が市場に出回っていないときにも売買契約が可能(市場の流動性)になるという効用が存在するため、証券取引が活性化されるという利点が存在する。 また空売りによる取引額の増大により証券市場においてより株の適正価格が確保されるという意見と、空売りにより投機行為の増大により株価が適正価格から遊離するという意見が存在する。特に前者の空売りは現物株が存在しない段階で結ぶ架空の売り行為でありこのような経済活動は制限されるべきであるという意見と、空売りに対する規制は自由契約の原則を犯す行為であり好ましくないという意見が存在する。Naked Shortは厳密には決済期日(現物の受渡日)までに反対売買により差金決済をおこなう先物取引に相当するため、現在の現物株取引市場においては規制(T+3ルール)が存在する。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「空売り」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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