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空想から科学へ[くうそうからかがくへ] 『空想から科学へ』(くうそうからかがくへ、''Die Entwicklung des Sozialismus von der Utopie zur Wissenschaft'')は、フリードリヒ・エンゲルスの著作。1880年に社会主義への入門書としてエンゲルスが自著『反デューリング論』を抜粋してつくったパンフレット。正式名称は『空想から科学への社会主義の発展』。1880年のフランス語版や1892年の英語版などは『空想的社会主義と科学的社会主義』というタイトルだった。 ==出版の経緯== 本書の出版の経緯は、本書にあるエンゲルスの序文に簡潔にまとめられている。ドイツの2つの労働者党(アイゼナハ派とラサール派)が合同し1875年にドイツ社会主義労働者党が結成された。この政党内で理論的影響を広げつつあったのが、ベルリン大学の私講師であっただった。デューリングはカール・マルクスの理論を1つの仮想敵としており、さらに「彼のまわりに1つの派閥、すなわち将来別個の党になる中核を公然とつくりはじめた」(エンゲルスの序文)ので、エンゲルスはこれを批判する論文を機関紙『フォルウェルツ』で連載。これが1878年に出版されて『反デューリング論』(正式名は「オイゲン・デューリング氏の科学の変革」)となった。 『反デューリング論』はドイツ語だけであったのと、マルクスの娘婿で「フランス下院議員であるポール・ラファルグの要請によって、私〔エンゲルス──引用者注〕はこの本の3つの章をパンフレットにまとめ、それをラファルグが翻訳して、1880年に『空想的社会主義と科学的社会主義』という表題で出版した」(エンゲルス前掲書)。 本書の第1章は、『反デューリング論』の「序説」第1章「総論」、第3篇第1章「歴史的概説」を使い、第2章は「序説」第1章、第3章は第3篇第2章「理論的概説」を活用している。『反デューリング論』がマルクスとエンゲルスの理論分野を網羅した著作になったことに対応し、本書にものちにウラジーミル・レーニンが「マルクス主義の3つの源泉と3つの構成部分」として定式化した社会主義理論、哲学、経済学の3つの要素が簡潔に入っている。しかしこの定式をマルクス主義の定式としてしまうことには異論も多い。 エンゲルスは『反デューリング論』についてその序文のなかで「私〔エンゲルス──引用者注〕は印刷する前に原稿を彼〔マルクス──引用者注〕に読みきかせた」とのべ、また本書についてもマルクスは序文で本書を「科学的社会主義の入門書」と紹介したように、基本的にマルクスの承認のもとに本書は刊行されている。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「空想から科学へ」の詳細全文を読む
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