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竜血(りゅうけつ)とは、古来洋の東西を問わず、貴重品として取り引きされ、薬用やさまざまな用途に用いられてきた、赤みを帯びた固形物質のこと。 とはいえ、実際にはさまざまな名称あり、それらが複数の物質を指すために使われてきている。この事情がやや錯綜しており、項目をいくつかに分割するのも難しい。 複数の物質とは、おもに以下のとおり。 #リュウゼツラン科ドラセナ属に属するいわゆる“竜血樹”、すなわち や などから採れる樹脂のこと。 #東南アジア系の“竜血樹”、 や などからとれる樹脂のこと。 #ボルネオ島、スマトラ島などで採れる籐の一種、ヤシ科ヒメトウ属(キリンケツ属)・キリンケツヤシ () の果実を加工したもの。現地名は jernang(ジュルナン)。 #鉱物の一種・辰砂、英名 cinnabar。 呼称については下の解説の中でふれることとするが、呼称に言及するときにも呼称がないと不便なので、ある種のメタ呼称として“竜血”の語を用いることとする。 ==西洋における“竜血”== 紅海の入り口の東、インド洋の西端に浮かぶソコトラ島は、遅くともプトレマイオスの時代には、古代世界の重要な貿易中継地であった。島は乾燥した岩山ばかりで農業はほとんど成り立たなかったが、唯一とも言える特産品であったのが、世界中でも同島にしか育たない Dracaena cinnabari から採れる竜血であった。 1世紀のペリプルス『エリュトゥラー海案内記』にも、同島の特産品として記載が見える。 15世紀には、大西洋・カナリア諸島に赴き Dracaena draco の竜血を入手した者たちがいたという〔。 これら2種の“竜血樹”はアフリカをはさんで東と西に遠く離れて分布しているが、同じドラセナ属に属する近縁種である。ほかにも類似の種が各地に分布している。 こうした“竜血樹”の樹皮を傷つけると滲みだしてくる、血のような色をした樹脂を集め、乾燥させてドロップ状にしたものがいわゆる“竜血”であり、アラビア、インド、ギリシアなどの商人の手によって各地に流通してきた。 “竜血”の呼称としては、「竜の血」系の名(、)と「シナバル」系の名( 、、)とがあったが、どちらの系統の名も、“竜血樹の竜血”以外に辰砂をも意味したという点には注意が必要である。古くは両者は同じ物質として扱われ、たびたび混同されたという。 なお、現在の英語では“竜血樹の竜血”は dragon's blood、“辰砂”は cinnabar と呼ぶのが一般的である。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「竜血」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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