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竹一船団 : ウィキペディア日本語版
竹一船団[たけいちせんだん]

竹一船団(たけいちせんだん)は、第二次世界大戦中の日本軍護送船団のひとつである。竹船団と呼ばれた一連の輸送船団の最初のもので、2個の師団フィリピンと西部ニューギニアに輸送する任務を負い、1944年昭和19年)4月17日上海を出港した。4月26日と5月6日にアメリカ海軍潜水艦の魚雷攻撃を受け、4隻の輸送船が沈没し3,200名以上の日本兵が戦死した。残存船団は目的地を変更し、ハルマヘラ島に人員と物資を揚陸した。
竹一船団の失敗は、戦略的に大きな影響を及ぼした。2つの師団が目的地にたどり着けなかったため、日本の大本営は防衛線を950 km 以上も後退させる決断をすることになった。また、いずれの師団とも大きな打撃を受けており、後に侵攻してきたアメリカ陸軍部隊と戦ったものの、ほとんど戦局に寄与することができずに終わった。
== 背景 ==

=== 絶対国防圏構想 ===
1943年(昭和18年)9月、日本海軍日本陸軍は、絶対国防圏と称する防衛線の設定に合意した。絶対国防圏はマリアナ諸島からカロリン諸島を経由して、西部ニューギニアのヘルビング湾(現チェンデラワシ湾)からバンダ海フローレス海までを最前線と定めた〔Willoughby (1966), p. 250〕。この時点では防衛線に陸軍部隊はほとんど配備されていなかったため、中国戦線満州から部隊を輸送して、航空基地の防衛に充てる計画であった。中部太平洋方面(マリアナ諸島やカロリン諸島)への増援作戦は「松輸送」、豪北方面(西部ニューギニアなどオランダ領東インド東部)への増援作戦は「竹輸送」と命名された。これらの呼称は、日本で縁起の良いとされた3種の植物「松竹梅」に由来する。ドイツの封鎖突破船「柳船」が成功を収めたことにもあやかっている〔戦史叢書『海上護衛戦』、357頁。〕。
しかし、船舶不足から、増援部隊の輸送は遅れていた〔Willoughby (1966), pp. 251–252〕。中部太平洋方面の防備が最優先とされたため、特に豪北方面へ配備予定の部隊が後回しになり、1944年(昭和19年)4月になっても中国に残っていた〔Willoughby (1966), pp. 257–258 and p. 272〕。
遅れていた豪北方面への増援作戦(竹輸送)が加速されたきっかけは、1944年(昭和19年)3月末のホーランジア空襲とパラオ大空襲での被害であった。西部ニューギニアやフィリピン南部への連合軍の急進撃をおそれた大本営は、4月4日、パラオ行きを予定していた第35師団の第二次輸送部隊(2個歩兵連隊基幹)を西部ニューギニアのマノクワリへ、ハルマヘラ島行きを予定していた第32師団をフィリピン南部のミンダナオ島へと送ることにした〔戦史叢書『豪北方面陸軍作戦』、326頁、340頁。〕。4月9日に大本営は作戦を発令し、この2個師団を運ぶ竹一船団が上海で編成された〔戦史叢書『豪北方面陸軍作戦』、371頁。〕〔Willoughby (1966), p. 272〕。この2個師団は1939年(昭和14年)に編成されたもので、これまで日中戦争で戦歴を積んでいた〔Madej (1981), p. 60 and pp. 62–63〕。「竹一船団」というのは、竹船団の1回目の意味である。なお、第35師団の3個歩兵連隊のうち歩兵第219連隊は、師団司令部とともに第一次輸送部隊とされ、松輸送の東松5号船団に乗って4月初旬に先発、同月下旬に無傷でパラオへと進出している〔Smith (1953), p. 459〕。
さらに、大本営は4月10日頃になって再び計画を変更し、第32師団を当初の予定通りのハルマヘラ島に送ることにした〔。大本営は、前線への部隊の海上輸送が次第に困難になっていることに頭を痛め、これ以降に予定していた絶対国防圏への増援部隊は、連合軍の侵攻前に間に合わない可能性があると考え始めていた。そこで、第32師団を、ミンダナオ島よりも緊急性が高い豪北方面の第2軍への増援に充てることに決めたのである〔。正式な目的地変更は、船団出航後の4月25日に発令された〔戦史叢書『海上護衛戦』、373頁。〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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