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第二書房 : ウィキペディア日本語版
第二書房[だいにしょぼう]

株式会社第二書房(だいにしょぼう)は、日本出版社である。社名は第一書房の元社員であった伊藤禱一が、第一書房の復興のため活動したが果たせず、自身で新たな出版社を開業したことによる〔「『薔薇族』編集長」14頁〕。
ゲイ向け雑誌薔薇族』の発行で有名であるが、かつては歌集詩集ドキュメンタリーなどの単行本出版を専門としていた。インターネットの普及により『薔薇族』の売り上げは落ち込み、2004年には一旦休刊、2007年には抵当に入っていた社屋から移転を余儀なくされる。その後は主に友人などの寄付で『薔薇族』を不定期刊行していたが、新編集長竜超の下で薔薇族を継続することが決定した。
== 歴史 ==

* 1944年 - 第一書房(第1期)解散。
* 1948年 - 伊藤禱一が第二書房を創業。自宅にて、他に一切の社員を使わず操業を始める。吉田絃二郎『夜や秋や日記』が処女出版となる〔『裸の女房』80-81頁〕。
* 1952年 - 禱一の長男、文學が入社。2人による操業となる。
* 1953年 - 歌集『巣鴨』を出版。
* 1954年 - 歌集『広島』『内灘』を出版。『巣鴨』とセットで戦争三部作となり、朝日新聞で紹介され評価されるが、商業的には成功とは言い難い売れ行きであった〔『薔薇族』編集長 99頁〕。
* 1956年 - 三上綾子『匪賊と共に—チチハル脱出記』と須田寅夫『ニコヨン物語—笑と涙で綴った日雇の手記』がベストセラーとなる。後者は日活で映画化もされた。
* 1962年 - 伊藤文學が、性描写をメインとした新書シリーズ「ナイト・ブックス」を企画し、定期刊行開始。売れ行きは良く、経営は安定する。この時期に、創業者である伊藤禱一は実務から遠ざかり、文學のみの操業体勢となる。
* 1965年 - 伊藤文學と妹の紀子のノンフィクション共著『ぼくどうして涙が出るの』を出版。新聞・週刊誌等で大きな話題となり、後に映画化される。
* 1966年 - 当時としては画期的な自慰行為のガイドブックとして、秋山正美『ひとりぼっちの性生活-孤独に生きる日々のために』を出版。この本を読んだ同性愛者の手紙を読んで、ゲイ向け出版物を視野に入れる。
* 1968年 - 男性同性愛者向けに秋山正美『ホモテクニック—男と男の性生活』を出版。操業以来ベスト3の売り上げを記録。以後も同性愛者向け新書を出版する。
* 1971年 - 会員制ゲイ雑誌を除けば、日本初の同性愛者向けの商業雑誌『薔薇族』を刊行〔薔薇族の前に会員制ゲイ雑誌「アドニス」(1952年9月~62年63号)、「同好」(1959年10月頃大阪で創刊。後に「清心」に改名)、「薔薇」(1964年7月創刊.4年程続く)、「羅信」、「MAN」、「「楽園」などが創刊されている。〕。
* 1972年 - 『薔薇族』第2号のヌードグラビアに陰毛が写っていたため、警視庁が文學に出頭要請する〔「『薔薇族』編集長」48-51頁〕。またこの年、男性同性愛者向け写真集『脱いだ男たち』を「デッサン用」と銘打って販売し、完売する〔『薔薇よ永遠に』62頁〕。
* 1973年 - 『薔薇族』の成功により、本社ビルを建て替える。後に薔薇族城と呼ばれる。
* 1974年 - 『薔薇族』8月号(通巻19号)からの月刊化に伴い(18号は7月号、17号は5月号)、他の書籍出版業務からほぼ完全に撤退する。
* 1975年 - 『薔薇族』4月号掲載の小説が猥褻とされ、発禁処分となる。
* 1977年 - 『薔薇族』50号記念号(3月号)に寺山修司が詩「世界はおとうとのために」を寄せる〔2012年2月27日伊藤文学のひとりごと「上京してきた寺山修司君との、最初の出会い」。〕。
* 1989年 - 宮崎勤事件後、『薔薇族』グラビアの露出度が高いということで警察より複数回に渡って注意を受ける。また、編集部で気付かずに裏ビデオの広告を入れてしまい、猥褻図画販売幇助の疑いで大阪府警から文學が呼び出しを受けたが、処罰はされなかった。
* 2004年 - 『薔薇族』が休刊となり、第二書房は無収入となる。
* 2007年 - 2月に抵当に入っていた自社ビルを立ち退く。4月には『薔薇族』を再々復刊(それまで2社によって復刊されたが、どちらもすぐ再休刊となっていた)。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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