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粟田口吉光 : ウィキペディア日本語版
粟田口吉光[あわたぐち よしみつ]
粟田口 吉光(あわたぐち よしみつ、13世紀頃)は鎌倉時代中期の刀鍛冶正宗と並ぶ名工で、特に短刀作りの名手として知られる。
== 概要 ==
京都粟田口には古くからの名工がいた。吉光は、通称を藤四郎といい、鎌倉の岡崎正宗とならぶ名工とされている。古来より銘が流暢であり、また、ほとんどの作には「吉光」二字銘を切られる。しかし、年期銘のある作がなく、親、兄弟の作から鎌倉中期の刀工と見られている。豊臣秀吉により、正宗・郷義弘と共に「天下の三名工」と称された。
現存作の多くは短刀であり、身幅、体配とも尋常なものが多い。地鉄は「梨子地」と呼ばれる小板目肌が最も良く詰んだもので、地沸(ぢにえ)厚くつき、地には線状の湯走り(ゆばしり)が見られる。典型的とされる刃文は、直刃(すぐは)を主体としつつ細かく乱れ、刃中よく沸え、匂い口深いもので、焼き出しに互の目(ぐのめ)を連ねるものが多い。また、名物後藤藤四郎(短刀)、名物平野藤四郎(短刀)のようにやや大振りのものから、刃文も湾れ(のたれ)に丁子を交えるなど乱れ刃主体のものもある。名物厚藤四郎(あつしとうしろう)は「鎧通し」と呼ばれる特に重ねの厚い作品で、元重ねは1cmを超える。無銘の名物、無銘藤四郎(むめいとうしろう、短刀)も元重ね厚く7mm強ある。
古来珍重されてきたため、 織田信長、豊臣秀吉と言った権力者の元に蒐集され、本能寺の変大坂夏の陣で焼身になったものが多い。徳川家康は大坂夏の陣に際し、焼け身、紛失した吉光や正宗を始めとする業物の刀を探させた。これらの焼身は初代越前康継の手によって焼き直され、その姿を今に残すものも多い。吉光の焼き直しの代表格としては、太刀を磨り上げた名物一期一振藤四郎(いちごひとふりとうしろう、刀)、小薙刀を磨り上げた名物鯰尾藤四郎(なまずおとうしろう、脇差)がある。また、大坂夏の陣に際し、堀中から無傷で回収した薙刀直しの名物骨喰藤四郎(ほねばみとうしろう、脇差)も、江戸城明暦の大火で焼け、後代の康継によって焼き直された。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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