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糸巻き戦車(いとまき - せんしゃ)は、糸を使い切って空になった糸巻きを廃物利用して作られる玩具。 ==概要== この玩具は、まだ日本が貧しかった時代に満足に玩具を買い与えられなかった子供らが、自分たちで作って遊んでいた素朴な玩具である。糸巻きを動輪としてゆっくりと前進する様が、マーク I 戦車をはじめとする第一次世界大戦から導入され陸戦兵器の花形となった戦車のようであったことから、このように呼ばれる。 構造は、糸巻き(ボビン)の軸にあたる穴に輪ゴムを通し、輪ゴムの右方または片側をろうそくの切れ端に通した上で箸ほどの長さを持つ木の棒を、反対側には糸巻きの径よりも小さな木製の棒を取り付ける。この輪ゴム両端の棒はねじることで短くなった輪ゴムの持つ弾性によって、糸巻き側面に密着する。 作動における動力はまず輪ゴムをねじることで弾性によりひずみの形で棒を元の方向に戻そうとする弾性エネルギーが蓄えられる。また輪ゴムはねじられることにより長さが縮まり、両端に装着された木の棒を密着させ、より強く摩擦を働かせる。これを蓄えられた弾性エネルギーが解放されないよう手で抑えたまま平坦な場所に置いてから手を離すと、輪ゴムから解放された回転力が本体後方に伸ばした棒に伝達され、この地面を押す力の反作用(力学における作用・反作用の法則)が本体糸巻きを回転させ、糸巻きと設置面との間に働く摩擦によって装置全体を前進させる。 材料は、空になった糸巻きのほか、マッチの軸や割り箸ないし適当な長さの木の棒と動力となる輪ゴム、更に回転速度を調節しつつ摩擦を軽減させるワッシャー代わりのろうそく後端の切れ端(ろうそくの燃え残り)が使われる。これらは当時の一般の家庭に幾らでも転がっている廃物で、空になった糸巻きは裁縫箱を持っている母親などにもらい、ろうそくの燃えかすとマッチの軸は仏壇で先祖を祭った後に出るものをもらい、輪ゴムは包装に使われていたものを失敬し、割り箸か木の棒はそこらに落ちているものを拾ってきて利用した。 これらを組み合わせて玩具とする訳だが、特に糸巻き本体には滑り止めの凹凸をつけたり、輪ゴムを増強してトルクを増したり、後端の木の棒を工夫して直進性を増したりといった工夫も行われた。元より廃物利用であるため材料費は掛からなかったが、子供たちは創意工夫を凝らして「自分の戦車」をより高性能にして楽しんだのである。 また、使わなくなったカメラのフィルムケースを糸巻きの代替にして作るといったケースもある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「糸巻き戦車」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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