翻訳と辞書 |
紀伊国屋事件[きのくにやじけん] 紀伊国屋事件(きのくにやじけん)とは、1999年に紀伊國屋書店で、成年向けマンガだけでなくヌードや性描写を含んだ一般向けの漫画まで撤去された、一連の出来事である。過剰な自主規制の例として引き合いに出されることの多い事件である。 == 概要 ==
1999年に児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下、児童ポルノ法)が施行され、児童ポルノの販売が禁止されたことにより、各書店では児童ポルノに該当するおそれがある書籍や雑誌などが撤去された。そんな中、紀伊國屋書店が各書店に対して、児童ポルノ法施行にともなう注意事項を通達した。その中に、児童ポルノ法で規制の対象になっていない漫画やアニメーションも注意が必要な物の中に含まれていた〔「児童ポルノってどんな本? 戸惑う書店、独自基準も 禁止法施行」1999年12月6日 朝日新聞夕刊より〕〔「TINAMIX Archives」『第二回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議(横浜国際会議)レポート』(2002年1月18日) 〕。 その結果、BLを含めた成年向けマンガだけでなく、『バガボンド』や『ベルセルク』、『あずみ』などのポルノグラフィではない、未成年のヌード描写や性描写を含んだ一般向け漫画が、一時的に紀伊國屋書店から撤去される事態になった〔ASCIIjp×ビジネス「非実在青少年は、なぜ問題なのか?」2010年6月10日 〕〔『「非実在青少年」って何? わけのわからない条例を作る東京都の狙い』」週刊現代(講談社刊) 2010年5月18日 〕〔ITmediaNews「同人誌と表現を考えるシンポジウム:(4)言うべきは言い、守るべきを守る(1/3)」2007年6月1日 〕。他にも山本直樹や『センチメントの季節』を初めとした榎本ナリコの一連の作品なども撤去された〔長岡善幸 『マンガはなぜ規制されるのか 「有害」をめぐる半世紀の攻防』(2010年 平凡社新書)〕。 『あずみ』は1997年、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した作品であり、また『バガボンド』は2000年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞、『ベルセルク』も2002年<第6回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞を受賞している。これらはいずれも芸術的価値が高いと評価された作品であった。 この影響はマンガだけにとどまらず、『本上まなみ写真集』などの有名タレントの出版物も撤去対象になった。売り場には「児童ポルノ禁止法が施行されました。当店は法律を順守します」という内容の張り紙が出され、この一連の撤去の影響は大手出版社を始め、数十社にも及んだ〔長岡善幸 『マンガはなぜ規制されるのか 「有害」をめぐる半世紀の攻防』(2010年 平凡社新書)〕。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「紀伊国屋事件」の詳細全文を読む
スポンサード リンク
翻訳と辞書 : 翻訳のためのインターネットリソース |
Copyright(C) kotoba.ne.jp 1997-2016. All Rights Reserved.
|
|