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紀田順一郎 : ウィキペディア日本語版
紀田順一郎[きだ じゅんいちろう]
紀田 順一郎(きだ じゅんいちろう、1935年4月16日 - )は、日本評論家翻訳家小説家。本名は佐藤 俊(さとう たかし)。神奈川県横浜市中区生まれ。横浜国立大学神奈川師範学校横浜中学校から慶應義塾高等学校を経て、慶應義塾大学経済学部卒。
ペンネームの「紀田」はきだみのるから、「順一郎」は谷崎潤一郎に由来している。
== 経歴 ==
横浜の本牧・千代崎町で出生、父は日本銀行の行員。1941年に父が結核となり、暗い家庭となる。腺病質で体が弱かったため、本の世界に楽しみを見出していた。集団疎開の苦しみから、1945年1月の父の死去で逃れる。その後、縁故疎開して終戦を迎える。1948年、横浜国立大学附属横浜中学校に入学。担任となった女性教師の影響で、純文学に親しむようになる。
1951年、慶應義塾高等学校入学。文学全集を読みふけるが、一方で1953年に創刊された「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」の影響で、探偵小説にも熱中するようになる。また、「映画芸術研究会」で大伴昌司と知り合う。
1954年、慶應義塾大学経済学部に進学。紀田らの入学2年前に仮結成されていたものを、田村良宏(後のSRの会会長)らが本格立ち上げした慶應義塾大学推理小説同好会木々高太郎を会長)に、やはり大伴とともに参加。
卒業後は、商社勤務のかたわら、大伴、桂千穂らとともに、「SRの会東京支部」に参加。『SRマンスリー』に新刊推理小説評を連載。1963年にはやはり紀田、桂と「恐怖文学セミナー」を結成し、同人誌「ホラー」を発行。同会には同人に荒俣宏がいた。また、永井荷風と仲たがいして、文壇を干されていた平井呈一を訪問し知己となり、「恐怖文学セミナー」の顧問就任を依頼。その後、平井には怪奇幻想文学の翻訳をしばしば依頼した。また、『宝石』などを舞台に推理小説などの評論研究を発表。
初期のSFにもコミットしており、1962年には多くのSF関係者を輩出した「一の日会」の前身となる「SFマガジン同好会」の創設に参加。だが、その後すぐに、SFファンに違和感を感じ、ファン活動から身を引いたようで、回顧本にもこの件は、ほとんど登場しない。
1964年に退社し、近代史を中心とする評論活動を専業とする。
執筆活動では、漸次、読書論、古書論、出版情報論、国語国字問題に軸足を移行する。また、執筆活動にワープロ、パソコンを導入したのも早く、パソコンを利用したデータベース論も発表している。
また、映画マニアでもあり、1970年代には8ミリや16ミリの映画フィルムを多数コレクション。関連書を執筆し、コレクター団体「映画コレクター連盟」を組織した。
また、1984年の著書『知の職人たち』で、吉田東伍石井研堂斎藤秀三郎日置昌一新村出等の、破格の辞典・事典編集者たちを取上げ、のちの監修本や監修ビデオなどで、彼等の業績を紹介した。
幻想小説、怪奇小説の翻訳も多い。大学生時代の荒俣宏と出会い、コンビで怪奇幻想文学の叢書をいくつも立ち上げる。国書刊行会から刊行された、「世界幻想文学大系」はその記念碑的産物で、カルト出版社としての国書刊行会もこの叢書で決定づけられた(この企画は、あちこちの出版社に持ち込み、ことごとく断られたが、国書刊行会を訪問したところ、社長の即断で刊行が決定したという)。
そのほか、中島河太郎と『現代怪奇小説集』『現代怪談集成』を、東雅夫と『日本怪奇小説傑作集』を共同監修した。
一方、1982年に、連作中編集『幻書辞典』を発表。古書の世界を舞台としたミステリ作家としてもデビューし、その後も同傾向の作品を発表している。
1993年、小田切進尾崎秀樹共同監修の『少年小説大系』全32巻(三一書房)が第16回巌谷小波文芸賞受賞。
1997年に、岡山県吉備高原に書庫を設け、画家森山知己と紀行文「吉備悠久」を新聞連載。
1999年、第5回横浜文学賞受賞〔主な事業のご紹介(横浜文学賞) - 横浜文芸懇話会 〕。
2006年には、財団法人神奈川文学振興会〔2011年に公益財団法人に移行。〕理事長および神奈川近代文学館〔3代目で、2015年現在は辻原登が館長(4代目)〕館長に推挙される。
近年は、若きマニア時代の文章をまとめた著書や、少年・青年時代の体験を回顧した著書を続けて刊行している。そのうち『幻想と怪奇の時代』により2008年、第61回日本推理作家協会賞評論その他の部門受賞。同書を中心とする文学活動に対し、神奈川文化賞を受賞。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「紀田順一郎」の詳細全文を読む



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