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紋章[もんしょう]
紋章(もんしょう、)とは、個人および家系を始めとして、公的機関、組合(ギルド)、軍隊の部隊などの組織および団体などを識別し、特定する意匠又は図案である。ここでは、主にヨーロッパを発祥とする紋章について述べる。 == 定義 ==
紋章の定義には諸説あるが、概ね紋章が持つべき最低限の要件は、個人を識別できるよう全く同じ図案の紋章が2つ以上あってはならないことと、代々継承された実績を持つ世襲的なものであることの2点である〔紋章学入門 P.14、P.17〕。厳密な意味では、紋章と呼べる要件を満たしているものはヨーロッパと日本にしか存在しない〔紋章学入門 P.17〕。それ以外のものは、いずれも「しるし」と訳される「エンブレム」や「インシグニア」と呼ばれて区別されるが、しばしば紋章と混同される。 紋章のうちヨーロッパを発祥とする西洋の紋章には、紋様が描かれた盾(エスカッシャン)を中心として様々なアクセサリーが加えられているものも多く、これらの外部要素を含めた全体を紋章と呼ぶこともある。しかし、サポーターを始めとするアクセサリーは紋章発祥から相当な期間が経過した後になってから追加されるようになったもので、厳密には紋章(コート・オブ・アームズ)とは盾のことだけを指す〔紋章学入門 P.14〕。紋章を意味するコート・オブ・アームズの語に武器を意味するアームズ (Arms) という言葉が含まれていることからも、紋章とは元々戦闘用の盾であったことが伺える〔。また、その盾の紋様がサーコート (Surcoat) と呼ばれる陣羽織やタバード (Tabard) と呼ばれる上着、乗馬の外被 (Caparison) にも描かれたことからコート (Coat) という言葉が含まれるようになった〔。他にも紋章は、印璽(シール)、棺や墓像に使われる他、屋敷、家具や食器などの調度品に付けることが広く行われた。 全く同じ図案の紋章が2つ以上あってはならないのは冒頭で述べた通りであるが、それは同時期の同一主権領内に限ったことであり、先代の当主が死去して長男に紋章が相続される際には新たな当主は先代のものとまったく同じ紋章を用いる。また、国王や領主などの主権が及ぶ範囲を越える場合は同一の紋章が存在してもよく、実際に複数の国にまたがって同じ紋章が存在する例は多数ある〔紋章学入門 P.16〕。 個人および家系を表すものは、分家や縁組などで変化していくことがあるが、ある代で突然まったく別の紋章に置き換えられたり、兄弟でまったく異なる紋章が用いられたりすることはなく、男子女子を問わず、庶子を含むすべての子孫に先代の図案が継承されていく。これが紋章が継承された実績であり、一代限りで使われなくなったものや、初代が用いた「しるし」が二代か三代にわたって用いられず、その後また一代だけ用いられたようなものは紋章とは呼ばれない〔。都市や学校、その他の機関、団体、組織の紋章は代替わりすることがなく、継承の実績はないように見えるが、変更しない限り永続的に用いられるものであるため、紋章と見なされている。なお、王国や帝国の国章の場合は君主個人の紋章がそのまま用いられるため、時代によって変化することがある。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「紋章」の詳細全文を読む
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