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純非分離拡大 : ウィキペディア日本語版
純非分離拡大[じゅんひぶんりかくだい]
代数学において、体の純非分離拡大 (purely inseparable extension) は標数 ''p'' > 0 の体の拡大 ''k'' ⊆ ''K'' であって ''K'' のすべての元が ''q'' を ''p'' のベキ、''a'' を ''k'' の元として ''x''''q'' = ''a'' の形の方程式の根であるようなものである。純非分離拡大はときどき radicial extension と呼ばれるが、名前の似たより一般的な概念である (radical extension) と混同してはならない。
== 純非分離拡大 ==
代数拡大 E\supseteq F が''純非分離拡大'' (purely inseparable extension) であるとは、すべての \alpha\in E\setminus F に対して、\alpha の ''F'' 上の最小多項式が分離多項式''でない''ということである〔Isaacs, p. 298〕。''F'' が任意の体であれば、自明な拡大 F\supseteq F が純非分離である。体 ''F'' が''非自明な''純非分離拡大をもつためには、上のセクションで概説したように不完全でなければならない。
純非分離拡大の概念に対するいくつかの同値でより具体的な定義が知られている。E\supseteq F が代数拡大で標数が(0 でない)素数 ''p'' であれば、以下は同値である〔Isaacs, Theorem 19.10, p. 298〕:
1. ''E'' は ''F'' 上純非分離
2. 各元 \alpha\in E に対してある n\geq 0 が存在して \alpha^\in F.
3. ''E'' の各元はある整数 n\geq 0 とある元 a\in F に対して X^-a の形の ''F'' 上の最小多項式をもつ。
上の同値な特徴づけから次が従う。(素数標数の体 ''F'' に対して)E=F であってある整数 n\geq 0 に対して \alpha^\in F であれば、''E'' は ''F'' 上純非分離である〔Isaacs, Corollary 19.11, p. 298〕。(これを確認するには、ある n\geq 0 に対して x^\in F であるようなすべての ''x'' からなる集合は体をなすことに注意せよ。この体は \alpha と ''F'' を両方含むので、それは ''E'' でなければならず、上の条件 2 によって、E\supseteq F は純非分離でなければならない。)
''F'' が標数が素数 ''p'' の不完全体ならば、a\in F であって ''a'' は ''F'' において ''p'' 乗元でないものを選び、 ''f''(''X'') = ''X''p − ''a'' とする。このとき ''f'' は ''F'' に根をもたないので、''E'' が ''f'' の ''F'' 上の分解体であれば、f(\alpha)=0 なる \alpha を選ぶことができる。とくに、\alpha^=a であり、直上の段落で述べられた性質から、次が従う。F\supseteq F は非自明純非分離拡大である(実は E=F なので E\supseteq F は自動的に純非分離拡大である)〔Isaacs, p. 299〕。
純非分離拡大は自然に確かに現れる。例えば、素数標数の体上の代数幾何学において現れる。''K'' が標数 ''p'' の体で ''V'' が次元が 0 よりも大きい ''K'' 上の代数多様体であれば、関数体 ''K''(''V'') は ''p'' 乗の部分体 ''K''(''V'')''p'' 上純非分離拡大である(これは上の条件 2 から従う)。そのような拡大は標数 ''p'' の有限体上の楕円曲線上の ''p'' 倍の文脈において現れる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「純非分離拡大」の詳細全文を読む



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