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紫色採尿バッグ症候群 : ウィキペディア日本語版
紫色採尿バッグ症候群[むらさきいろさいにょうばっぐしょうこうぐん]
紫色採尿バッグ症候群(英:Purple Urine Bag Syndrome 略称PUBS)は主に長期病臥中で尿道カテーテルを長期留置している患者に見られ、採尿バッグ(蓄尿バッグ)が紫色に染められる現象である。尿中のインジカンが細菌によって色素になり、その色素が採尿バッグを染め上げる。尿道カテーテルの長期留置・慢性便秘・尿路細菌感染が重なると多いが、様々な例が報告され機序不明例もある。尿が紫色な訳ではなく、尿自体は黄色である。尿に含まれる色素が採尿バッグに付着していき紫色になっていく。
1978年Barlowらが尿路変更を行った患者ではじめて報告している。尿路感染症を伴っていたその患者では採尿バッグがときどき紫色の染められ、同年にはPayne、Sammondsらによっても同様な報告がされた。これらの報告では老人施設ではよくあることであり、ほとんどは寝たきりでかつ女性に多いとされている〔峯山浩忠 他「採尿バッグの赤紫化」『臨床泌尿器科』Vol.47 No.10、医学書院、1993年、pp.789-790〕。1988年にはDeallerらによって一部の菌種が有するサルファターゼによって尿中のインジカンが色素であるインジゴに変化し採尿バッグが着色すると解明された〔。
典型例での機序では慢性便秘によって腸内細菌が異常増殖し、必須アミノ酸であるトリプトファンがインドールに変えられる。腸から吸収されたインドールは肝臓においてインジカンに変えられ尿に排出される。この際、尿路に細菌がいると細菌によってインジカンはインジゴブルー・インジルビン(インジゴレッド)などの色素に変わり、その色素が採尿バッグを変色させる〔中嶋孝 他「紫色採尿バッグ症候群14症例の検討」『臨床泌尿器科』Vol.61 No.2、医学書院、2007年、pp.155-158〕〔中村広「インジカン」『広範囲 血液・尿化学検査,免疫学的検査(第7版)1-その数値をどう読むか-』日本臨牀 67巻 増刊8、日本臨牀社、2009年、pp.161-163〕。色素は青色であるインジゴブルーと赤色であるインジゴビンによるが、これらの割合によって青が強くなったり赤が強くなったりしうる〔。尿色は淡黄色で悪臭を放つ〔。
女性に多いとされているが、症例報告によっては男性のPUBSが多く報告されているものもあり〔津村 秀康 他「Purple Urine Bag Syndromeの臨床像に関する検討」『泌尿器外科』Vol.18臨時増刊号、医学書院、2005年、p.524〕、すべての症例で尿はアルカリ性を示し、着色の機序に関係している可能性が指摘されている〔〔。
色素が生まれるのは、尿中のインジカンがインドキシルホスタファーゼ活性またはサルファターゼ活性を持つ細菌によって合成されるからである〔。その細菌はEnterococcus属の物が多いという報告もあるが、PUBSを起こしうるインドキシルホスタファーゼ活性を持つ細菌の種類は多く〔、また治療の結果などにより原因菌種が交代することもあり必ずしも一定ではない〔。
抗生物質の投与によって細菌が減少もしくは菌種が交代することにより採尿バッグの着色が改善されたとする報告があるが、中には治療後にも着色現象が不変であったり、尿中インジカンが検出されないのに採尿バッグが着色するケースなどもあり、着色の機序はひとつだけではないことが示唆されている〔〔〔。PUBSにおいて着色現象そのものでなく、その背景になりうる便通のコントロールや、寝たきりやカテーテル長期留置、細菌感染などに対する予防医学の重要性が指摘されている〔

== 参考文献 ==



抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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