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絶対安定多数 : ウィキペディア日本語版
安定多数[あんていたすう]
安定多数(あんていたすう)とは、国会政権与党が安定した国会運営を行うために必要な議席数をいう。特に衆議院の議席数に対して使われる。
== 概説 ==
日本国憲法では、国会の議決によって指名された国会議員内閣総理大臣に任命され(67条、6条1項)、内閣総理大臣が国務大臣を任命して内閣を組織し、内閣は行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負うと定める(68条1項、66条)。この一連の仕組みを議院内閣制という。国会は衆議院及び参議院の両議院で構成され(42条)、各議院の議決は一部の例外を除き「出席議員の過半数」で決するため(56条2項)、議院内閣制の下では、通常、内閣の意思と国会の議決によって示される意思内容は大筋で一致する。したがって、内閣と国会における与党(多数党)は、協働して国政を運営することが想定されている。
国会の議決の内容は、多くの場合、衆議院の議席の過半数と参議院の議席の過半数をそれぞれ占めれば、決定することができる。ただし、日本国憲法では、内閣総理大臣の指名、法律の制定、予算の決定など、重要な事柄について衆議院の優越を定めているため、衆議院の議席の多数を占めれば、内閣総理大臣を選定・指名して、政権与党となることができる。このため、衆議院における議席数が特に重視され、政党は衆議院の議席の過半数を占めることを目指して、衆議院議員総選挙で争う。
また、政権与党としては、衆議院の議席の過半数を占めただけでは、安定した国会運営を行うためには十分な議席数ではない。なぜならば、国会における審議は、各議院の中に設置された委員会での審議を中心とする委員会中心主義が採用されているからである(国会法40条以下、56条2項・3項)。大日本帝国憲法に定められた帝国議会ではイギリス議会に範をとって法案の審議を本会議中心に進める読会制を採っていた(議院法)のに対して、日本国憲法に定められた国会はアメリカ合衆国議会に範をとって委員会を中心に行う委員会制が採られている(国会法)。委員会には、常設の常任委員会と特に必要があると認めた案件などについて審査する特別委員会の二種がある(国会法40条)。議院に発議・提出された議案は、議長が適当の委員会に付託し、その審査を経て本会議に付する(国会法56条2項)。委員会の審議で議院の本会議に付するを要しないと決定した議案は、原則として本会議に付されない(同条3項)。したがって、安定した国会運営を行うためには、本会議における過半数の議席を占めるだけでは足りず、委員会における過半数を占められるだけの議席も必要となる。なお、各議院は委員の中から常任委員長を選び(国会法25条)、委員会の議事で可否同数のときは委員長が決する(同50条)。そのため、委員の半数に委員長の数を足した議席を占めれば、委員会の審議も与党がリードできる。この、委員の半数に委員長の数を占められるだけの議席数が安定多数と呼ばれる。そして、委員の''過''半数に委員長の数を占められるだけの議席数は絶対安定多数と呼ばれる。
さらに、日本国憲法において議決数が加重されている事柄を決するために必要な議席数は圧倒的多数と呼ばれる。この圧倒的多数が必要な事項には、「出席議員の三分の二以上」が必要な秘密会の開会(57条1項)、議員の除名(58条2項但し書)、衆議院による法律案の再議決(59条2項)や、「各議院の総議員の三分の二以上」は必要な憲法の改正の発議(96条1項)がある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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