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絶対温度 : ウィキペディア日本語版
熱力学温度[ねつりきがくてきおんど]

熱力学温度(ねつりきがくおんど、)〔熱力学的温度(ねつりきがくてきおんど)とも呼ばれる。〕は、熱力学に基づいて定義される温度である。
国際量体系 (ISQ) における基本量の一つとして位置付けられ、次元の記号としてサンセリフローマン体の が用いられる。また、国際単位系 (SI) における単位ケルビン(記号: K)が用いられる。熱力学や統計力学に関する文献やそれらの応用に関する文献では、熱力学温度の意味で温度 という言葉を使うことが多い。
熱力学温度は平衡熱力学における基本的要請を満たすように定義される示強変数であり、そのような温度は一つに限らない。
熱力学温度が持つ基本的な性質の一つとして普遍性がある。具体的な物質の熱膨張などを基準として定められる温度は、選んだ物質に固有の性質をその定義に含んでしまい、特殊な状況を除いて温度の取り扱いが煩雑になる。熱力学温度はシャルルの法則熱力学第二法則のような物質固有の性質に依存しない法則に基づいて定められるため、物質の選択にまつわる困難を避けることができる。
熱力学温度が持つもう一つの基本的な性質として、下限の存在が挙げられる。熱力学温度の下限は実現可能な熱力学的平衡状態〔熱力学や統計力学に関する文献では単に平衡状態と呼ばれることが多い。〕を決定する。この熱力学温度の下限は絶対零度と呼ばれる。
統計力学の分野においては逆温度が定義されしばしば熱力学温度に代わって用いられる。逆温度 は(理想気体温度の意味での)熱力学温度 に反比例する
:\beta = \frac ~~ (> 0)
ことが知られ( はボルツマン定数)、このことが の名前の由来となっている。
また統計力学では「絶対零度を下回る」温度として負温度が導入されるが、負温度は熱力学や平衡統計力学の意味での温度とは異なる概念である。熱力学で用いられる通常の温度は平衡状態の系を特徴づける物理量だが、負温度は反転分布の実現するような非平衡系や系のエネルギーに上限が存在するような特殊な系を特徴づける量である。負温度はある種の非平衡系に対してカノニカル分布を拡張した際に、この分布に対する逆温度の逆数(をボルツマン定数で割ったもの)として定義され、負の値をとる。すなわち、負の逆温度 に対し負温度 は
:\overline = \frac ~~ (< 0)
という関係が成り立つように定められる。この関係は通常の(正の)温度と逆温度の関係をそのまま非平衡系に対して適用したものとなっている。しかしながらその元となる逆温度と温度の対応関係は、統計力学で定義される諸々の熱力学ポテンシャルが熱力学で定義されたものと(漸近的に)一致するという要請から導かれるものであり、負温度が実現する系において同様の関係が成り立つと考える必然性はない。
熱力学温度はしばしば絶対温度(ぜったいおんど、)とも呼ばれる。多くの場合、熱力学温度と絶対温度は同義であるが、「絶対温度」という言葉の用法はまちまちであり「カルノーの定理理想気体の状態方程式から定義できる自然な温度」を指すこともあれば、「温度単位としてケルビンを選んだ場合の温度」ないし「絶対零度を基準点とする温度」のようなより限定された意味で用いられることもある。
気体分子運動論によれば分子が持つ運動エネルギー期待値は絶対零度において 0 となる。このとき、分子の運動は完全に停止していると考えられる。しかしながら、極低温の環境において古典力学に基づく運動論は完全に破綻するため、そのような古典的な描像は意味を持たない。
== 定義 ==

=== 理想気体による導入 ===
シャルルの法則によれば、気体の体積は温度の変化に対して(ある程度の)普遍的な振る舞いをする。気体の振る舞いを理想化した理想気体は、その体積が熱力学温度に比例する。
理想気体の体積に比例する温度として熱力学温度を導入する教科書もあり、この導入による温度は理想気体温度とも呼ばれる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「熱力学温度」の詳細全文を読む



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