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緑の革命 : ウィキペディア日本語版
緑の革命[みどりのかくめい]

緑の革命(みどりのかくめい、)とは、1940年代から1960年代にかけて、高収量品種の導入や化学肥料の大量投入などにより穀物生産性が向上し、穀物の大量増産を達成したことである。農業革命の1つとされる場合もある。
ロックフェラー財団は、1944年結成のノーマン・ボーローグらの研究グループ〔日本大学 - 〕(1963年国際トウモロコシ・コムギ改良センターに改組)と1960年設立の国際稲研究所に資金を提供し、緑の革命を主導した。
== 概要 ==
在来品種は、一定以上の肥料を投入すると収量が絶対的に低下する。それは在来品種の場合、倒伏が起こりやすいために肥料の増投が収量の増加に結びつかないからである。そこで、導入された主な高収量品種(High Yield Varieties: HYVs)として、メキシコメキシコシティー郊外でアメリカ合衆国農学者・ボーローグらによって開発されたメキシコ系短稈〔短稈(たんかん)- 穀類のが短いこと。稈とは節があり中に空間がある茎。〕コムギ品種群や、フィリピンマニラ郊外の国際稲研究所(IRRI)で開発されたイネ品種IR8などが挙げられる。これらの短稈品種は、植物体全体の背が低くなるが穂の長さへの影響が少ない性質(半矮性)を導入したものである。半矮性の導入によって作物が倒伏しにくくなり、施肥に応じた収量の増加と気候条件に左右されにくい安定生産が実現した。なお、高収量品種を近代品種と近年では言い換えられている。かつては、高収量品種と呼ばれたが、生産環境に関わりなく常に高収量を実現できるわけではないためである。
緑の革命に寄与した他の要因として、灌漑設備の整備・病害虫の防除技術の向上・農作業の機械化が挙げられる〔Defining the Green Revolution - What Was the Green Revolution? 〕。『緑の革命』"Green revolution"という用語は、1968年米国国際開発庁のWilliam Gaudによって造語されたものである〔。また、緑の革命が広がる中で、前述のロックフェラー財団のほかに、フォード財団や各途上国の政府も緑の革命に関与することとなった〔Defining the Green Revolution - What Was the Green Revolution? 〕。
「緑の革命」によって1960年代中ごろまでは危惧されていたアジアの食糧危機は回避されただけでなく、需要増加を上回る供給の増加によって食糧の安全保障は確保され、穀物価格の長期的な低落傾向によって都市の労働者を中心とする消費者は大いに恩恵を受けた。特に消費支出に占める食糧費の割合が高い貧困層には、顕著であった〔Otsuka, Keijiro. “Poverty Reduction Issues: Village Economy Perspective.” Asian Development Review, July 2001.〕。
また、穀物価格の低下は、森林伐採による耕地の拡大へのインセンティブを弱め、環境保全にも大きな貢献をしたという解釈もある〔Otsuka, Keijiro and Frank Place. Land Tenure and Natural Resource Management: A Comparative Study of Agrarian Communities in Asia and Africa. Baltimore, MD: Johns Hopkins University Press, 2001.〕。
CIMMYTで多収性品種の開発に努め緑の革命に大きく貢献したボーローグは、歴史上のどの人物よりも多くの命を救った人物として認められ、1970年ノーベル平和賞を受賞している。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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