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緩急車(かんきゅうしゃ)は、鉄道車両の一種で、列車にブレーキを掛けるための装置が取り付けられた車両である。緩急車は、貨物を搭載する車両に車掌や制動手が乗り込む場所を取り付けてあるものを指し、ブレーキを掛ける装置が取り付けられていても貨物を搭載できない車両は車掌車という。客車の緩急車とは、車掌室を有し、手ブレーキと車掌弁がある車両のことである。 なお、日本の鉄道では慣習として、同様の設備を有していても展望車、郵便車、荷物車、事業用車にはこの名称は用いない。日本の事例を参照されたい。 == 概要 == 初期の鉄道には貫通ブレーキが装備されておらず、現代の鉄道のように運転士の操作ひとつで列車全体にブレーキを掛けることができなかった。機関車と、車掌や制動手(ブレーキマン、ブレーキを掛ける係員)が乗務している少数の車両にのみブレーキが取り付けられており、機関士が警笛で合図することで、乗務員が手作業でブレーキを掛けていた。この車掌や制動手が乗ってブレーキを掛ける車両が、もともとの意味の緩急車である。 旅客列車では、客車の一部に制動手が乗り込むスペースを設け、そこにブレーキを操作する装置を取り付けていた。貨物列車では、有蓋車や無蓋車などの貨車に制動手席を取り付けて用いていた。有蓋車に制動手席が付くと有蓋緩急車、無蓋車に制動手席が付くと無蓋緩急車と呼ぶ。初期の貨物列車の緩急車は吹きさらしの制動手席が付いているだけのもので、悪天候時には厳しい条件で作業を行うきつく危険な仕事であった。やがて制動手が乗り込む部屋が用意されるようになった。 緩急車は貨物列車の最後部に連結されていることが多かった。この場合、事故発生時の後部での列車防護の役割も果たす。 貫通ブレーキが装備されて、運転士の操作だけで列車の全車両に同時にブレーキを掛けることができるようになると、制動手が乗り込んでブレーキを操作する必要性はなくなった。しかし、車掌が走行中の列車を監視して、車両の破損、荷崩れ、連結が外れるなどの異常事態を発見した際に緊急に列車を止めるために、引き続き車掌が乗り込むスペースにはブレーキ弁(車掌弁)や手ブレーキが装備された。このため、貫通ブレーキの装備以降では、車掌が乗り込むスペースが取り付けられた車両のことを緩急車と呼ぶようになった。 英語では車掌車のことを、アメリカ英語ではcabooseというが、イギリス英語ではbrake vanといい、これは緩急車のことである。ドイツ語でも車掌車に相当する言葉はBremserhäuschenであり、これはbrakeman houseの意味である。日本(国鉄)では、車掌の乗務スペースを備えた客車・貨車を緩急車、車掌の乗務専用で旅客や貨物を搭載できない車両を車掌車、という区別としている。ただし一般には、車掌車も緩急車と呼んでいる場合もある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「緩急車」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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