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フェルミ縮退[ふぇるみしゅくたい]
フェルミ縮退(フェルミしゅくたい、〔『理化学英和辞典』 研究社(1999年)〕)とは、フェルミ粒子がフェルミ分布に従うために低温で示す振る舞いのこと。 フェルミ粒子はパウリの排他原理により、複数の粒子が同一の状態を取ることができない。従って、あるエネルギーの値を取れる粒子の数は、そのエネルギーの状態の数までが限界である。温度、すなわち粒子の平均運動エネルギーを下げていくと、粒子はエネルギーの低い状態へ移っていこうとする。しかし、エネルギーの低い状態がこの粒子数の限界に達してしまうと、エネルギーが高いままで残らざるを得ないことになる。このような状態になることを、フェルミ縮退もしくは単に縮退という。 粒子の密度が高ければ、粒子数の限界に達しやすくなるので、フェルミ縮退が起こりやすくなる。恒星の中心核は超高密度であるため、数億Kという高温でありながら、フェルミ縮退が起こることがある。 フェルミ縮退している物質を縮退物質(degenerate matter)〔と呼ぶ。以下にその物性を示す。 == 金属の自由電子 == 金属の自由電子は、室温程度ではフェルミ縮退している。そのため、低いエネルギー準位にある電子は、その上のエネルギー準位が粒子数の限界に達しているために、加熱してもエネルギーの高い状態になることができない。このため熱を受け取れる電子は、エネルギーの高い電子に限られるので、自由電子の熱容量は、古典粒子として考えた場合よりもずっと小さい値になる。また磁場をかけた場合に、電子がそのスピン状態を変えようとしても、変わる先の状態がすでに占有されているので、スピン状態が変わることができない。そのため、磁化率も古典粒子として考えた場合よりもずっと小さい値になる(パウリ常磁性)。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「フェルミ縮退」の詳細全文を読む
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