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繰り込み理論 : ウィキペディア日本語版
繰り込み[くりこみ]

繰り込み(くりこみ)とは、場の量子論で使われる、計算結果が無限大に発散してしまうのを防ぐ数学的な技法であり、同時に場の量子論が満たすべき最重要な原理のひとつでもある。
くりこみにより、場の量子論電磁相互作用に適用した量子電磁力学は完成した。場の量子論にくりこみを用いる方法は、以後の量子色力学およびワインバーグ・サラム理論を構築する際の規範となる。
== 概要 ==

量子力学の摂動論では相互作用項を含まない自由ハミルトニアンの固有状態を初期状態にしてその時間発展を求めるため、相互作用を通じて自由ハミルトニアンが保存しない中間状態にも遷移可能である。(不確定性原理参照。)場の量子論 (QFT) ではそのような中間状態が無限にある。中間状態に存在可能な運動量を積分すると特定の過程に関して運動量や質量、結合定数に関する発散が発生する。しかし実際の物理現象はこのような発散を示さず、量子補正に現れる発散は非物理的であると理解されるべきである。
簡単な例としてスカラー4点理論の、次元正則化法における2点間数の1-loop補正は
と書ける。ここでk はスカラー場の外線運動量、\gamma はオイラー定数、m_s はスカラー場の質量、 \epsilon は次元正則化においてdの4次元極限で0となる量、ここでは4-d \equiv \epsilon であり、括弧内の末項は4次元極限で消滅する \epsilon の一次以上の項である。\mu は後述するくりこみスケールであり、粒子の散乱などを考える際は外線の運動量 k が相当する。ここで括弧内の第一項に発散が現れていることが分かる。この式では左辺は外線運動量の関数として書かれているが右辺は外線運動量を含まない関数系となっている。これはスカラー4点理論特有の結果であり、一般にフェルミオンやベクトル場を含む理論では外線運動量を含む項が右辺に現れる。
右辺に現れる発散が上記の非物理的発散であり、これらの無限大は電子の質量結合定数などの理論のパラメータの再定義によって取り除くことができる。具体的には、発散しているパラメータ(裸のパラメータ)を用いて記述されている理論からスタートし、裸の理論を物理的なパラメータに対応する部分(くりこまれたパラメータ)と非物理的な発散部分(counter term)に切り離し、くりこまれた量を用いて量子補正を計算した結果現れる発散とcounter termを相殺させるという計算法が最も簡単である。例えばスカラー4点理論における二点関数に関しては「裸の」ラグランジアン
の裸の質量に関して
と、くりこまれた有限の質量パラメータ m_^2 を定義することで裸の質量から発散を切り離す。Z_m,Z_はそれぞれ質量、波動関数に関するくりこみ係数と呼ばれる発散する係数である。スカラー4点理論では波動関数くりこみが存在しないため通常Z_=1とする。
最右辺の初項がくりこまれた質量パラメータ、二項目がcounter termとなる。Counter termとくりこまれたパラメータで書かれた量子補正による発散の相殺条件の一つとして
というくりこみ条件を与えることが出来る(minimal subtraction scheme)。この条件下では最早量子補正から発散部分が取り払われていることが分かる。
また上記のようにこれは次元正則化法による計算方法であり、量子補正における発散を取り出す方法はこの限りではない。例えば運動量の紫外切断による正則化法ではスカラー場の二点関数に対する補正は
と書ける。ここで\Lambdaは運動量の紫外切断点である。
理論の紫外切断が非常に高い場合は量子補正における発散はいわゆる二次発散:\Lambda^2として現れる。
量子補正やそこから現れる発散を扱う場合には、くりこみ処方同様に正則化処方を計算目的に合わせて選ぶ必要がある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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