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『美しさと哀しみと』(うつくしさとかなしみと)は、川端康成の長編小説。ある中年小説家と、彼がかつて愛した少女で現在日本画家となった女、その内弟子で同性愛者の若い娘の織りなす美しさと哀しみに満ちた人生の抒情と官能のロマネスク物語〔「カバー解説」(文庫版『美しさと哀しみと』)(中公文庫、1973年)〕〔山本健吉「解説」(文庫版『美しさと哀しみと』)(中公文庫、1973年)〕。愛する師のために、レズビアンの女弟子が男の家庭の破壊を企てる復讐劇を基調にしたストーリー展開で、川端の野心的な代表作とは見なされてはいないが、川端という作家の主題や技法が特徴的に示されている作品だといわれている〔〔〔三島由紀夫「解説」(『日本の文学38 川端康成』)(中央公論社、1964年)。三島由紀夫『作家論』(中央公論社、1970年。中公文庫、1974年)に所収。〕。 1965年(昭和40年)2月28日に篠田正浩監督で映画化され、1985年(昭和60年)にはフランスのジョイ・フルーリー監督により映画化された。 == 発表経過 == 1961年(昭和36年)、雑誌『婦人公論』1月号(第46巻第1号)から1963年(昭和38年)10月号(第48巻第11号)にかけて連載された。1962年(昭和37年)4月号は病気(睡眠薬の禁断症状)で休載されたため、全33回となる。各回には加山又造による挿画が掲載された。各章と回の関係詳細は以下のようになる。 :「除夜の鐘」 - 1961年(昭和36年)1月号から3月号(第1回から第3回) :「早春」 - 同年4月号から7月号(第4回から第7回) :「満月祭」 - 同年8月号から10月号(第8回から第10回) :「梅雨空」 - 同年11月号から1962年(昭和37年)1月号(第11回から第13回) :「石組み――枯山水」 - 同年2月号から3月号、5月号(第14回から第16回) :「火中の蓮華」 - 同年6月号から9月号(第17回から第20回) :「千筋の髪」 - 同年10月号から1963年(昭和38年)2月号(第21回から第25回) :「湖水」(のち「夏痩せ」と改題) - 同年3月号から5月号(第26回から第28回) :「湖水」 - 同年6月号から10月号(第29回から第33回) 以上の回と、新たに最終回末尾以後に加筆された36行分の文章を併せたものが、1964年(昭和39年)3月16日に中央公論社より刊行の『日本の文学第38巻 川端康成』に初収録された。その後、加筆訂正を施し、雑誌掲載時に好評だった加山又造の挿画のうちから27葉を挿入した『美しさと哀しみと』が1965年(昭和40年)2月20日に中央公論社より単行本刊行された。現行版は中公文庫で刊行されている。翻訳版は1975年のハワード・ヒベット訳(英題:Beauty and Sadness)をはじめ、各国で行われている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「美しさと哀しみと」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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