|
美術史(英:Art history/ 仏:Histoire de l'art/ 独:Kunstgeschichte)という言葉は、 # 絵画・建築・彫刻・工芸品など造型芸術の歴史 # それを研究する学問 の二つの意味で用いられる。後者は美術史学とも呼ばれる。以下では2. の意味の美術史について述べる(前者については西洋美術史・日本美術史・東洋美術史などの項目を参照)〔「美術史」(『日本国語大辞典』第2版、小学館、2002);"Art history" (Grove Dictionary of Art, Oxford UP, 1996) 〕。 == 歴史的展開 == === 16世紀以前 - 旅行記と「列伝」 === 広い意味での美術史的記述は古代から存在していた。パウサニアスの『ギリシア案内記』のような旅行記・案内記と、大プリニウス『博物誌』に現れるような芸術家・作品についての記録がそれである。この二つの伝統は中世ヨーロッパにおいても、巡礼案内やルネサンス期以降の都市案内記、芸術家の伝記などの形を取って存続した。〔高階秀爾「美術史と美学」(今道友信『講座美学:5 美学の将来』東京大学出版会、1985, pp. 217-225)〕 しかし芸術家や作品を明確な歴史意識のもとに記述する試みが登場するのは、一般にルネサンス期、とくにヴァザーリの『芸術家列伝(画家・彫刻家・建築家列伝)』 (1550) においてとされる。この著作は「列伝」(芸術家の伝記的情報の集成)の形式を取りながら、全体を時代の流れに沿って3 部に分けて、芸術の歴史的発展をも同時に叙述している。それぞれの時代に特有の歴史的枠組みが想定されており、この点で、最初の体系的な〈美術史〉とも呼ばれる。 〔野口昌夫編著『ルネサンスの演出家ヴァザーリ』白水社, 2011;伊藤拓真「ヴァザーリの歴史記述の内と外:『芸術家列伝』の地理的構成--第1部・2部を中心として」(『西洋美術研究』13号, pp. 18-43, 2007)〕またヴァザーリは、体系的な図像分析のための基本的技術を確立した。二十世紀の「イコノロジー」研究の要素を持っていたことも知られており、最初の美術評論家とも呼ばれる。〔Fredrika H. Jacobs, "Vasari's Vision of the History of Painting: Frescoes in the Casa Vasari, Florence" (The Art Bulletin, Vol. 66, No. 3, 1984), pp. 399-41)〕ヴァザーリの研究手法および「列伝」の形式は、オランダのカレル・ヴァン・マンデル『画家の書』などに受け継がれた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「美術史」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|