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数学、とくに群論における自由積(じゆうせき、)は、2つの群 ''G'', ''H'' から新しい群 ''G'' ∗ ''H'' を構成する操作である。''G'' ∗ ''H'' は ''G'' と ''H'' をともに部分群として含み、''G'' と ''H'' の元によって生成され、そして、これらの性質を持つ「最も一般的な」群である。''G'' と ''H'' の一方が自明でないかぎり、自由積は必ず無限群である。自由積の構成は自由群(与えられた生成集合から作ることのできる最も一般的な群)の構成と類似している。 自由積はにおける余積である。つまり、自由積が群論において果たす役割は、集合論における非交和や加群論における直和のそれと同じである。もとの群が可換であったとしても、一方が自明でない限り、自由積は可換ではない。したがって、自由積はにおける余積ではない。 自由積はのために代数トポロジーにおいて重要である。この定理はある条件を満たす2つの弧状連結位相空間の和集合の基本群は常にもとの空間の基本群の融合積であるというものである。とくに2つの空間の(すなわち1点で2つの空間を貼りあわせて得られる空間)の基本群は単に空間の基本群の自由積である。 自由積はまた木に自己同型として作用する群の研究であるにおいても重要である〔http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~kida/jarticle/11kinosaki.pdf〕〔https://www.cck.dendai.ac.jp/math/~t-hara/pdf/waseda2013.pdf〕。特に、木に対する有限頂点固定群を持つ任意の群作用は融合積とを用いて有限群から構成することができる。この理論において、双曲平面のある種の三角形分割上へのモジュラー群の作用を用いれば、モジュラー群が位数 および の巡回群の、位数 の巡回群上でとった融合積に同型となることが示せる。 群の自由積(=余積)はの圏において考えるのが適している 。群の非交和は、群にはならないが、亜群にはなるという点に注目する。任意の亜群 は必ず普遍群 (universal group) を持つが、群の非交和の普遍群はそれら群の自由積(=余積)に一致するのである。 ==構成== ''G'' と ''H'' が群であるとき、''G'' と ''H'' のとは : の形の積である。ここで各 ''s''''i'' は ''G'' か ''H'' の元である。そのような語は以下の操作により縮約できる: * (''G'' あるいは ''H'' の)単位元を取りのぞく。 * ''G'' の2つの元により ''g''1''g''2 となっている部分はそれを ''G'' における積で置き換える。''H'' についても同様。 縮約されたすべての語は ''G'' の元と ''H'' の元が交互に並ぶ積である。例えば、 : 自由積 (free product) ''G'' ∗ ''H'' は、元が ''G'' と ''H'' の縮約された語であって、積は連結して縮約したものとする群である。 例えば、''G'' が無限巡回群 〈''x''〉 で、''H'' が無限巡回群 〈''y''〉 であれば、''G'' ∗ ''H'' のすべての元は、''x'' のベキと ''y'' のベキが交互に並ぶ積である。この場合、''G'' ∗ ''H'' は ''x'' と ''y'' によって生成された自由群に同型である。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「自由積」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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