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群集心理 : ウィキペディア日本語版
集団心理[しゅうだんしんり]
集団心理(しゅうだんしんり)とは、群集状況のもとで醸成される、群集に特有な心理のこと〔コトバンク > デジタル大辞泉 > 群集心理とは 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 岡田直之〕。群集心理とも。
群集研究は主として群集心理学として発展してきたといってよい。集合心理である点で、群集を構成する諸個人の精神や意識とは異なる次元の心理現象であるが、群集心理を個人の心理や意識を超越した、なにか神秘的な実体と考えるべきではない。群集心理は群集状況の場において個人間の心的相互作用の集合過程を通して発生し、形成されるのである。こうした意味合いにおいて、群集心理はけっして静態的、固定的な心理や意識ではなく、不安定で変化しやすい〔。
== 群集心理の原型 ==
群集心理に関する学問的研究の基礎は、イタリアの社会心理学者S・シゲーレ〔コトバンク > 20世紀西洋人名事典 > S. シゲーレとは 〕(Scipio Sighele)とフランスの社会心理学者ル・ボンによって固められた。シゲーレにせよル・ボンにせよ、19世紀末葉のヨーロッパにおける政治的、社会的激動期の混乱と茫漠(ぼうばく)たる不安を背景に、国家の運命をも左右しかねないほどの政治的躍進を遂げ、しだいに強力な階級に成長しつつあった民衆ないし労働者を群集としてとらえ、もっぱら群集の否定的性格をクローズアップした。シゲーレにとって、労働者階級はもっとも恐るべき群集であり、野蛮な暴動を企図する点において犯罪的群集であったし、ル・ボンにとっても、労働者階級にほかならぬ群集は、少数の知的貴族によって創造され指導されてきた文明を大規模に破壊する点において、やはり犯罪的であった。こうして、犯罪性、凶暴性、盲動性、衝動性、激高性、軽信性、被暗示性、偏狭性、知能的・道徳的劣等性などといった一連の病理的症候群が群集心理の原型とならざるをえなかった〔。
その後、イギリス生まれの心理学者W・マクドゥーガル(William McDougall)は群集心理の特徴として、(1)過度の情動、(2)衝動性、(3)暴力性、(4)移り気性、(5)一貫性の欠如、(6)優柔不断、(7)極端な行為、(8)粗野な情動と情緒の表出、(9)高度の被暗示性、(10)不注意性、(11)性急な判断、(12)単純かつ不完全な推理、(13)自我意識、自己批判、自己抑制の喪失、(14)自尊心と責任感の欠如による付和雷同性、をあげたが、これらの心理的特性は明らかにシゲーレやル・ボンの業績の延長線上にあるといえる〔。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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