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翼面加重 : ウィキペディア日本語版
翼面荷重[よくめんかじゅう]

翼面荷重(よくめんかじゅう Wing loading)とは、航空機などのに加えられる単位面積あたりの重量のこと。
== 概要 ==
翼面荷重は、通常、翼1平方メートルあたり、どれだけの重量(kg)を支えているかを示し、kg/m²で表す。航空機においては、その機体の性能や方向性を表す重要な指数の一つである。なお、この際の重量は一般に機体の自重ではなく運用重量であるが、飛行プロファイルの各点における性能を比較するために各時点での荷重も用いられうる。
翼は、気流や水流など流体に晒されることで揚力を得る。翼の上下を流れる空気の量が多いほど、より多くの揚力を発生させることができる。即ち、より強い(速い)風に翼を晒す(飛行機自体の対気速度を上げる)か、翼面積自体を広く確保するかすれば揚力が増し、より重い負荷を持ち上げることが可能になる。翼面荷重は、その飛行機が自重に対してどれだけ翼面積を確保しているか、という性能指標である。
翼面荷重が小さい状態、または翼面荷重が小さい飛行機を低翼面荷重であるといい、逆に翼面荷重が大きいことを高翼面荷重であるという。
なお、揚力は速度の2乗に比例する。そのため比較的高速航空機は翼面荷重が大きく、低速の航空機は翼面荷重が小さい傾向にある。
低翼面荷重である飛行機はより低速であっても大きな揚力を確保できるので、低速での離着陸が可能で離陸滑走路長・着陸滑走路長も短くなるほか、上昇性能も向上する。またバンク角を大きくして揚力をより向心力へ用いることが出来るため、低翼面荷重である飛行機は維持旋回率が大きくなり旋回半径は小さくなる。一方で翼面積を大きく取る事は重量増、高速時における空気抵抗増の原因にもなり、横風の影響を受けやすくなり低空域での安定性低下につながる。
一方、高翼面荷重の航空機は必要な揚力を確保するためには対気速度を上げざるを得ず、そのため離着陸距離が長くなり、旋回時にも速度を下げる事ができないので旋回半径が大きくなる傾向にあり、運動性にも悪影響を与える。反面、飛行時に風の影響を受けにくく、高速時でも安定した滑らかな飛行が可能となる。また高速を維持したまま旋回する事で旋回率(旋回時の角速度)は高くなる場合もある。
翼面荷重の値の範囲は、グライダーの50 kg/m²以下から、現代の高速戦闘機の場合の390~585 kg/m²程度までである。一般に揚力は速度の2乗に比例するため、低速機の翼面荷重は小さく、高速機は大きくなる傾向にある。なお、鳥が自力で飛行できるのは25kg/m²までであると言われている。
なお、翼面荷重の値は参考指標であっても、性能の絶対基準ではない事は留意が必要である。揚力は単純に翼面積と対気速度によって決まるものではなく、翼型や仰角によっても決まる。迎角を大きくとっても失速しにくい翼型であれば、大きな揚力を発生できる(この観点で揚力向上を図る設計としてストレーキが有名である)。またより小さな空気抵抗で大きな揚力を発生させる事、つまり揚抗比が高い事も大切な要件である。揚抗比を高めるには(亜音速域以下では)翼幅荷重を小さくする設計が求められる。複葉機においては上下の翼の干渉によって、単純に同じ面積の主翼1枚の場合の2倍の揚力を発生できない事も留意が必要である。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「翼面荷重」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Wing loading 」があります。



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