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聴覚閾値 : ウィキペディア日本語版
最小可聴値[さいしょうかちょうち]
最小可聴値(さいしょうかちょうち、、''ATH'' )あるいは聴覚閾値とは、雑音の無い環境で聴覚が検知できる最小の純音音圧レベルである。ヒトの聴覚の特性は周波数により異なり、最小可聴値は周波数毎の最小音圧レベルの測定結果からなる曲線で表現される。
最小可聴値の国際標準としては ISO226、及びその改訂版の ISO226:2003 が知られている。
== 概要 ==

ヒトが知覚できる閾値には、刺激の変化を区別できる最小値の「弁別閾」(丁度可知差異)と、刺激自体の存在が分かる最小値である「絶対閾」とがある。最小可聴値は聴覚についての絶対閾を意味する。
ヒトは一般に 20Hz から 20000Hz(20kHz)の音を聞くことができると言われているが、外耳中耳内耳で聴覚を司る蝸牛などの周波数特性のため聴こえ方は一様ではなく、周波数によって大きく変わる。最小可聴値は年齢や性別により異なるが、一般に 1 kHz~5 kHz で感度がよく、それより低音/高音になるにしたがい検知できる音圧レベルが高くなる。
通常、最小可聴値は音圧実効値を 20 µPa (マイクロパスカル) = 2×10−5 Pa(パスカルN/m2と等価)を基準にデシベル(dB)で表した''dB SPL''(Sound Pressure Level)の単位で表現される〔Hal Pashler(Ed), Steven Yantis(Ed). ''Steven's Handbook of Experimental Psychology. Volume 1: Sensation and Perception'', pp359-360.〕。
: dB SPL = 20 \log (\frac) \qquad \mbox P_0 = \mbox
基準音圧 ''P0'' は、正常な聴覚を持つ若者が 1 kHz で検知できる最小の音圧にほぼ相当する。この音圧での音の振幅はおおよそ水素分子のサイズと同程度であり、非常に小さい。
最も感度がよい 4 kHz 付近での最小可聴値は -5 dB 程度である。低い周波数ではそれよりかなり感度が悪く 20 Hz では 70 dB を超える。音圧レベルを上げれば 20 Hz 以下でも知覚可能だが純音としての感覚は失われる。個人差と年齢による差が大きいが高い周波数でも感度が悪くなり、15 kHz 以上では急激に悪化する。
最小可聴値は等ラウドネス曲線の一部として表現されることが多く、この場合等ラウドネス曲線での最低レベルの曲線として表される。
最小可聴値の曲線は以下の近似式で表現できる〔Andreas Spanias, Ted Painter, Venkatraman Atti. ''Audio signal processing and coding'', pp.114-115.〕。ここで ''f'' は周波数を表す。
: ATH(f) = 3.64 \left(f / 1000 \right)^ - 6.5 e^ + 10^(f / 1000)^4 \quad \mbox
最小可聴値の測定値は、単耳聴/両耳聴、自由音場/ヘッドフォン使用、持続音/断続音など測定条件により変わるため、測定結果には測定の条件が記載される。
知覚可能な最小音圧レベルを表す用語として、最小可聴値、聴覚閾値とも一般的に使われている。なお、聴力の測定器であるオージオメータのように心理物理学的測定法に関連する分野では、最小可聴値ではなく 聴覚の絶対閾を意味する聴覚閾値が用語として適当であると日本聴覚医学会の用語集には記載されている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「最小可聴値」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Absolute threshold of hearing 」があります。



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