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肉芽腫(にくがしゅ、慣習的に「にくげしゅ」とも〔日本大腸肛門病学会ホームページ内の用語集(ナ行) 〕、)は、炎症反応による病変のひとつであり、顕微鏡的に類上皮細胞、マクロファージ、組織球、巨細胞などの炎症細胞が集合し、この周囲をリンパ球、形質細胞と線維組織が取り囲んでいる巣状病変のことである。免疫刺激の少ない異物により惹起される異物性肉芽腫と免疫反応を引き起こす不溶性粒子により惹起される免疫性肉芽腫に分類される。 == 原因 == 生体内に異物(それは感染源をはじめとして、有害であることが多い)が入り込んだ際に、それに対する防御反応として炎症が起きる。その結果異物の有害性(生体にとって不利益な刺激)そのものをうまく弱体化できればよいが、それができない場合には、刺激を和らげるために異物を「隔離」してしまえばよい。この「隔離」によって最大の効果を得ようとする活動が肉芽腫形成である。このように異物を分解したり除去できるのか、それとも「隔離」するしかないのかは、宿主の免疫能と異物の性質の相互関係にかかっている。十分な免疫力があれば肉芽腫は、細胞内に感染して殺すことのできない病原体を終生無症状のままコントロールすることも可能である。また肉芽腫性反応は、異物だけでなく腫瘍細胞に対しても有効なコントロールをできることがある。 肉芽腫反応を起こしうる原因は非常に多いが、ヒトの肉芽腫の原因になるものには、肝生検のデータなどからわかるものとして以下のものがある〔Murray (1999)〕(以下の疾患あるいは物質で起こる可能性があるだけで、必ずしも普通に肉芽腫形成が起こるわけではない)。重要な疾患については後に詳述する。 * 感染症 ::寄生虫:住血吸虫症、内臓および皮膚リーシュマニア症、アメーバ赤痢、内臓幼虫移行症、回虫症 ::細菌:腸チフス、ブルセラ症、野兎病、リステリア症、エルシニア症、アクチノマイセス症、猫ひっかき病、心内膜炎、ウィップル病、ノカルジア症、腹部膿瘍 ::マイコバクテリウム属:結核、非定型抗酸菌症、類結核型ハンセン病 ::ウイルス:サイトメガロウイルス、エプスタイン・バール・ウイルス、B型インフルエンザウイルス、センダイウイルス ::真菌:ヒストプラズマ症、コクシジオイデス症、ブラストミセス症、クリプトコッカス症、アスペルギルス症、カンジダ症、ニューモシスチス肺炎 ::その他:Q熱、鼠径リンパ肉芽腫、梅毒 * 腫瘍:ホジキン病、リンパ腫、腺癌、腎細胞癌、慢性骨髄性白血病 * 炎症:サルコイドーシス、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、血管炎および結合組織病(多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、巨細胞性動脈炎、関節リウマチ、アレルギー性血管炎など)、過敏性肺臓炎、痛風を合併した乾癬、結節性紅斑 * 薬剤:スルホンアミド、アロプリノール、フェニルブタゾン、フェニトイン、イソニアジド、ペニシリン、メチルドーパ、ヒドララジン、プロカインアミド、ハロタン、セファレキシン、プロカルバジン、ジアゼパム、メトトレキサート、経口避妊薬 * 化学物質:デンプン、タルク、Freund完全アジュバント、ベリリウム、ジルコニウム、アルミニウム、チタン、硫酸バリウム、油(鉱物油、パラフィン、造影剤)、炭素、脂質、縫合糸、カバーガラス * 肝胆道疾患:原発性胆汁性肝硬変、特発性肝硬変、肝炎(C型急性肝炎、慢性活動性肝炎、アルコール性肝炎)、胆管周囲炎、脂肪肝、脂肪肉芽腫 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「肉芽腫」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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