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呼吸不全(こきゅうふぜん、respiratory failure)とは、「動脈血ガスが異常な値を示し、それがために生体が正常な機能を営みえない状態」と定義され、室内気吸入時の動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下となる呼吸器系の機能障害、またはそれに相当する異常状態を指し、これを呼吸不全と診断する(厚生省特定疾患「呼吸不全」調査研究班昭和56年度報告書)。 呼吸器障害が存在し、室内気吸入下の動脈血ガスが測定出来なくとも中心性チアノーゼが認められるときや、動脈血酸素飽和度(SaO2)の値から呼吸不全と診断して差しつかえない。PaO2 60Torrは、ほぼSaO290%に相当する。 呼吸不全はさらに動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)の程度により、下記に分類される。 I型呼吸不全………PaCO2が45Torr以下 II型呼吸不全…… PaCO2が45Torrを超えるもの なお、準呼吸不全はPaO2が60Torrを超え,70Torr以下をいう。 == なぜPaO2≦60Torr なのか == ヘモグロビンの酸素乖離曲線の傾きが、PaO2が60Torr の時点から急峻になるためと、多くの教科書に記載されているが間違いである。 乖離曲線の形は一見そのように見える。しかし、乖離曲線が急峻になるPaO2 の値を計算で求めると、その値は30〜40Torrであり、60Torr ではない。 それでは、なぜ60Torrなのであるかを、組織への酸素供給からその理由を示す。組織への入り口がPaO2で出口が静脈血酸素分圧(PvO2)とすると、低酸素血症が引き起こされPaO2が低下し、組織の出口であるPvO2も一緒に低下すると、組織への血流量が同じであればその組織で使われる酸素消費量は低酸素血症のおこる前と同じである。しかし、組織の出口のPvO2が低下するとその周囲の組織は酸素不足に陥る。血管から遠い細胞ほど酸素欠乏に陥る。そのため、生体ではPaO2が低下してもある値まではPvO2は低下しない。その値がPaO2=60Torrである。 この研究はCOPD患者を対象にしたものであるが、肺動脈性肺高血圧症(原発性肺高血圧症)では、PaO2 80TorrからPvO2が低下すると言われている(在宅酸素療法の適用疾患に、「低酸素血症の有無に関係なく肺高血圧症」がある)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「呼吸不全」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Respiratory failure 」があります。 スポンサード リンク
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