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胸腺 : ウィキペディア日本語版
胸腺[きょうせん]

胸腺(きょうせん、)は胸腔に存在し、T細胞の分化、成熟など免疫系に関与する一次リンパ器官。胸小葉とよばれる二葉からなっており、胸骨の後ろ、心臓の前に位置し、心臓に乗るように存在する。子牛の胸腺はフランス料理の食材でリー・ド・ボー:fr:Ris de veau)と呼ばれる。
== 構造 ==
胸腺は被膜におおわれており、その中に胸小葉がある。小葉はさらに外見の違いから皮質髄質に分けられる。適当な方法で染色すると皮質は濃く染まり、髄質は薄く染まる。
胸腺には以下のような細胞が存在する。
#上皮細胞:各種のホルモンを分泌する。
#胸腺細胞リンパ球
#大食細胞マクロファージ):胸腺内に散在し退化リンパ球を食べる。
#樹状細胞
発生の過程において胸腺の原基は第3咽頭嚢に由来しており、これが下に降りてくる。はじめ胸腺の原基は上皮細胞のみから構成されているが、ここに血流を介してリンパ球の前駆細胞が割り込んで入り上皮細胞を押しのける形で猛烈に増殖する。そのため最初立方形であった原基は伸展・扁平化し網目構造をつくるようになる。
成熟した胸腺において外側の部分である皮質は、上皮細胞が形成する網目の中にリンパ球(胸腺細胞)がぎっしり詰まっている。このリンパ球は免疫応答をおこせない未熟なものがほとんどである。一方内側の髄質は皮質に比べて上皮間の結合が粗く、リンパ球成分は少ない。しかしこれらは成熟したリンパ球でやがてT細胞として末梢に出ていくものである。髄質にはリンパ球のほかに、マクロファージ(大食細胞)樹状細胞といった抗原提示の細胞や上皮細胞の変化した胸腺小体(ハッサル小体)が認められる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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