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量子化学において、自然結合軌道(しぜんけつごうきどう、、略称: NBO)は、電子密度が最大となるよう計算された「結合性軌道」である。NBOは「自然原子軌道」(NAO)、「自然混成軌道」(NHO)、「自然結合性軌道」(NBO)、「自然(半)局在化分子軌道」(NLMO) を含む一連の自然局在化軌道の一つである。これらの自然局在化軌道は基本の原子軌道 (AO) と分子軌道 (MO) との間の中間体である。 :原子軌道 → NAO → NHO → NBO → NLMO → 分子軌道 自然(局在化)軌道は原子ならびに原子間の結合における電子密度の分布を計算するために計算化学において使われている。これらの軌道は分子の局在化1中心ならびに2中心領域における「最大占有特性」を有している。自然結合軌道 (NBO) は可能な限り高い電子密度の割合(理想的には2.000に近い)を含んでおり、ψの最も正確で可能な限り「自然なルイス構造」を与える。一般的な有機分子の99%を越えるもので見られる電子密度の高い割合(%-ρLで示される)は、正確な自然ルイス構造と一致する。 「自然軌道」の概念は、''N''-電子波動関数に内在する正規直交1電子関数の固有系を説明するために、Per-Olov Löwdinによって1955年に初めて導入された。 ==理論== それぞれの結合性NBO σAB(ドナー)は、原子AおよびBにおける2つの方向性を持った原子価混成軌道 (NHO) hAおよびhBの観点から書くことができる〔IUPAC. Compendium of Chemical Terminology, 2nd ed. (the "Gold Book"). Compiled by A. D. McNaught and A. Wilkinson. Blackwell Scientific Publications, Oxford (1997). XML on-line corrected version: http://goldbook.iupac.org (2006-) created by M. Nic, J. Jirat, B. Kosata; updates compiled by A. Jenkins. ISBN 0-9678550-9-8. . 〕。 :σAB = ''c''A ''h''Α + ''c''B ''h''B 上式の''c''Aおよび''c''Bは対応する分極係数である。 結合は共有結合性(''c''A = ''c''B)からイオン性(''c''A >> ''c''B)限界まで滑らかに変化する。 完全な価電子軌道空間を張るためには、それぞれの原子価結合性NBO σと対となる反結合性NBO σ *(アクセプター)が必要である。 :σAB * = ''c''A ''h''Α − ''c''B ''h''B 結合性NBOは「ルイス軌道」型(占有数は2に近い)であり、反結合性NBOは「非ルイス軌道」型(占有数は0に近い)である。理想化されたでは、完全ルイス軌道(2電子)は、形式的に空の非ルイス軌道によって補完される。 原子価反結合性軌道の弱い占有は理想化された局在化ルイス構造との決別であり、これは真の「非局在化効果」を意味する〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「自然結合軌道」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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