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京成3500形電車(けいせい3500がたでんしゃ)は、1972年(昭和47年)より製造が開始された京成電鉄の通勤形電車。 本稿では2013年(平成25年)4月より芝山鉄道の保有車両となった芝山鉄道3500形電車についても記述する。 == 概要 == 本形式は、輸送力増強と750形などの「青電」の置き換え用として1972年12月から1982年(昭和57年)5月までに4両編成24本96両が製造された。 京成の通勤車では初の冷房車である。 本形式の車両番号は、4の数字が縁起が悪かったため直前の3300形から200飛んで「3500形」と命名〔後にAE形の車体載せ換えで製造された通勤車が「3400形」と命名され、空き番号が埋められた。〕され、従来車と同様に東寄りから第1編成が3501、3502、3503、3504、第2編成が3505 - 3508…と連番で付与されている。なお、以下京成の呼称に合わせて西寄り(浦賀寄り)先頭車の番号を「編成名」(第1編成=3504編成、第2編成=3508編成…)として解説する。 骨組みは従来どおりの普通鋼ながら、外板はステンレス鋼のセミステンレス構造となり、銀色の金属地にファイアーオレンジ帯の外観は冷房装置とともに従来の京成のイメージを一新した。車体はドアや窓数、配置は従来車と共通であるものの、工法の簡略化のために角張ったものとなり、側面窓は別組み立て・後取り付けの「ユニット構造」とし、上段下降・下段上昇のラッチを廃した引っ掛け式を採用した。 セミステンレス車体の採用は、当時押上線の荒川橋梁や本線の江戸川橋梁の強度が不足し、3300形までの普通鋼製車体に冷房装置を取り付けると重量が限界を超えてしまう危険があったためだと言われている(このため、1両辺りの質量も33tとなっている)〔1970年代末に江戸川橋梁の架け替えや橋梁の強度向上が行われると3300形以前の鋼製の車両も冷房化されるようになった。〕。 前面は切妻で、縁が強調された「額縁」スタイルとなった。中間組み込み時に室内寄り乗務員室扉で運転席を、前面貫通扉で助士席を仕切ることができるように扉の開き方が変更され、前照灯や尾灯は腰部に縦並びで配されたが、これらも京成で初めて〔3300形以前の車両は運転室のみを仕切っており、前照灯は窓上部に設置されていた。〕である。車番は運行表示器とともに前面ガラスの内側に黒地で設置したが、このデザイン処理は後に新京成8000形電車や富山地方鉄道14760形電車などに波及した。その他、ユニット(後述)間連結部の妻窓が廃止された。 主回路制御方式は界磁チョッパ制御も検討されたが、乗り入れ先の都営浅草線の当時の規定から全車とも従来の弱め界磁制御を行う抵抗制御で製造された。また、浅草線内ではトンネルや駅の空調設備が不完全であるなどの排熱上の問題から冷房装置の使用も規制されていたため、1987年(昭和62年)の協定改正による冷房装置の使用規制撤廃まで押上駅で扇風機のみ稼動に切り替えて入線していた。 具体的な編成構成は以下のとおりである。 登録上は各車とも「3500形」である。3300形までと同様にM2車-M1'車の2両で1ユニットを構成し、M2車は運転台寄りの台車に主電動機を搭載しない「0.5M車〔「M」は電動車を表す記号。「普通の半分」という意味。他にも、1ユニットあたり2基 / 台車×4で8基のモーターがあるべきところを6基しか装備していないことから「6M車」と通称される。〕」となっている。ユニットが背中合わせに2つつながっているような格好であるため、2両ごとに分割が可能であり、実際分割したものを別の4両編成に連結した6両編成がしばしば見られる。なお、以下特別な場合を除いてM2車を「先頭車」、M1'車を「中間車」として解説する。 電動発電機 (MG) は冷房装置の搭載により従来車より大容量化したCLG-355B(定格出力75kVA)、電動空気圧縮機 (CP) は2段圧縮タイプのC-2000-Mを搭載している。パンタグラフは菱形のものがM2車寄りに1基設置されている。3300形までと異なり、台車は住友金属工業製S形ミンデン方式台車に統一され、電動台車はFS389、付随台車はFS089となった〔Sミンデン台車の採用はAE形(初代)が先行したが、AE形が鋳鋼製台枠で基礎ブレーキの方式が電動台車が両抱き式・付随台車がディスクブレーキに対し、3500形は鋼板プレス溶接組立台枠で電動台車が片押し式・付随台車が両抱き式である点が異なる。〕。駆動装置はWNカルダン方式で、モーターは3509 - 3510・3513 - 3516・3529 - 3536が東洋電機製造製TDK-8530-A、3549 - 3556・3561 - 3564・3573 - 3578・3589 - 3594が東洋電機製造製TDK-8531-A、それ以外が3300形や更新後の3200形でも使用している三菱電機製MB-3097-C2と、それぞれユニット単位で異なっているが、いずれの機種も基本的に同一設計である。京成社内ではまとめてKMM-3097-C(端子電圧500V、電流225A、出力100kW、定格回転数1,650rpm)と呼称される。主制御器は東洋電機製造製のACDF-H6100-575C(直列9段、並列6段、弱め界磁5段)である。 室内は天井や座席下部などほとんどが無塗装化された。先述の浅草線対策で冷房装置以外に補助送風機として東芝製の首振り式扇風機が設置されている。なお、首振り式扇風機が設置されている京成電鉄の形式としては、これが最も古いものである。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「京成3500形電車」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Keisei 3500 series 」があります。 スポンサード リンク
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