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花粉媒介 : ウィキペディア日本語版
受粉[じゅふん]

受粉(じゅふん)とは、種子植物において花粉が雌性器官に到達すること。被子植物では雌蕊(しずい、めしべ)の先端(柱頭)に花粉が付着することを指し、裸子植物では大胞子葉の胚珠の胚孔に花粉が達することを指す〔日本花粉学会編「送粉」「送粉者」「送粉生態学」『花粉学事典』〕。種子植物の有性生殖において重要な過程である。
花粉は被子植物では雄蕊(ゆうずい、おしべ)の葯(やく)で、裸子植物では葯〔啓林館「被子植物の生殖と発生 」〕もしくは小胞子葉の花粉嚢〔岡山理科大学・植物生態研究室「裸子植物 」〕で形成され、移動して受粉・受精する。同一個体内での受粉を自家受粉〔同一クローン個体間遺伝子型が同じ個体)または近交系として維持されている系統の個体間の受粉を「準自家受粉」(個体間自家受粉)として、自家受粉に含めることもある。その場合、個体内自家受粉は「正自家受粉」として区別する(『植物育種学辞典』)。また、正自家受粉は、同一の花の中での受粉である同花受粉と、同一個体の違う花の間の受粉である隣花受粉に分けられる。〕、他の個体の花粉による受粉を他家受粉〔きょうだい交配・品種間交配など(以上種内他家受粉)、種間他家受粉、属間他家受粉を含む。〕という。この受粉過程で、どのように花粉が移動するかによって、種子植物の受粉様式を風媒、水媒、動物媒虫媒、鳥媒など)、自動同花受粉に分類する。裸子植物の大部分は風媒花である〔〔裸子植物のうちグネツム目ソテツ目には虫媒と考えられる生物種が含まれる(中山剛 "BotanyWEB"「送粉・受粉 -動物媒」)。〕。
被子植物では、自家不和合性・雌雄異熟 (dichogamy) ・異形花柱花といった自家受粉・自家受精を防ぐ機構が発達した植物種も存在する。それらの機構は遺伝的多様性の維持と近交弱勢の防止の役割を持っている。
受粉日本遺伝学会編『学術用語集〈遺伝学編〉』〕〔日本植物学会編『学術用語集〈植物学編〉』〕〔日本育種学会編『植物育種学辞典』〕は英語"pollination"の翻訳語であり、ほかに授粉〔〔・送粉(そうふん)〔〔〔〔・花粉媒介(かふんばいかい)〔〔日本動物学会編『学術用語集〈動物学編〉』〕の用語も用いられる〔一般的には受粉であるが、植物が受動的に花粉を受けることを「受粉」、花粉が媒体を介して被子植物の柱頭・裸子植物の胚珠に移動することを「授粉」と区別することもある。従来、ポリネーションとも表記されていたこれらの現象について、中野治房が「送粉」と言う用語を1966年に提案し、花粉学会・生態学会などで用いられるようになっている(『花粉学事典』・『植物育種学辞典』)。しかしながら、漢字表記の意味に応じて、同一文献中でもそれぞれの表記を使い分けることがある(『花に秘められたなぞを解くために』)。〕。受粉の研究は植物学園芸学動物学生態学進化生物学など多くの学術分野に関連しており、受粉に関する専門的な学術分野としては送粉生態学(花生態学・受粉生態学)、受粉生物学(送粉生物学)および花粉学"palynology"などがある。
以下、本記事では特に断りが無い限り、被子植物の受粉について記述する。被子植物では、受粉後に花粉から花粉管が伸び、それが柱頭組織中に進入して胚珠に到達し、卵細胞が花粉管の中の精核と融合することで受精が成立する。
== 受粉様式 ==


自ら動くことに制約のある植物は花粉媒介を他の媒体に依存することが多い。その媒体の種類によって受粉様式は風媒、水媒、動物媒、自動同花受粉に分けられる。種子植物は約90%が動物媒受粉であり、残り10%が非生物的受粉であると推定されている〔米国農務省森林局Pollinator Factsheet 〕。受粉様式は種子植物の進化上で重要であり、の形質(送粉シンドローム〔送粉シンドローム(:en:pollination syndrome) - 受粉様式に合わせて特化した花の形質、または形質の組合せ(Fægri, K. and L. van der Pijl. ''The Principles of Pollination Ecology.'' (3rd ed.) New York: Pergamon Press, 1979. ISBN 0080213383)〕)に反映されている。動物媒の受粉様式は動物と植物の共進化の例として研究がなされている。植物と動物の関係は、受粉様式だけでなく種子散布まで含めた共生関係にあるものがある。
人間が人為的に受粉させることを人工授粉という。詳細は人工授粉の項を参照。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「受粉」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Pollination 」があります。



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