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英語帝国主義(えいごていこくしゅぎ)とは、現代社会における英語の広範な使用が引き起こしているさまざまな問題を、歴史的な観点から捉えた概念である。 == 歴史的概観 == === 英国の英語帝国主義 === 12世紀ごろからイングランドの歴代王家はブリテン諸島で、初めはアイルランド島の西部で、次に1282年に征服されたウェールズでも、そして最後にスコットランドで、拡大政策を実行していった。これらの征服はいくつもの挫折を経験したが、最終的には1707年にイングランドとスコットランドの間で結ばれた :en:Acts of Union 1707 によってその征服は完了した。そうした中、スコットランドはイングランドという強大な隣人と向かい合って何世紀にも渡って生き延びてきた。一方イングランドでは、主にフランスとの戦争が原因でフランス語の威信は衰退していった。その結果、1362年に英語は議会における唯一の言語であることが宣言された。しかし、実際には徐々に使用されていった。ヘンリー四世 (1367-1413) は、ノルマン・コンクエスト以来、英語が母語である最初のイングランドの君主である。結果として、英語は名声を得ることになる。 征服されたウェールズ・アイルランドといったケルト圏では、行政管理は王の言葉、つまり英語によって行われた。崇高な建物は、王家との関係に影響を受けて英国式になった〔:en:Architecture of the United Kingdomを参照。〕。しかし、庶民たちは相変わらず自分たちのことばであるウェールズ語、スコットランド・ゲール語、アイルランド語といったケルト語派系のことばを話した。しかし18世紀になると、イングランドからの移民、貿易の発達、義務教育の影響でゲール語の衰退が人々の間で加速していった。都市部は英国風になり、特にイングランド側に面しているところではその傾向が著しかった。英語化のプロセスの結果、ゲール語が使用される範囲は、力学的原理の中心から遠く離れた孤立した地域に限定されるようになっていった。地方からの移民、特にスコットランドやウェールズからの移民は、イングランドの工業化に大きく貢献した。また、アイルランドでは、ジャガイモ飢饉 (1846-48) の主な犠牲者は、島西部にいるゲール語を話す貧困者層であった。何百万人ものアイルランド人が死に、160万人の移住者が英語圏にどうにか逃げ込み、ゲール語の衰退が急速に進んだ。1921年のアイルランド共和国の独立宣言の時点で、たった2%のアイルランド人がどうにかアイルランド語を使っていたそうだ〔(英語)Ethnologue report for Ireland が参考になるかもしれない。〕。その割合は、スコットランドのゲール語とほぼ同じである。今日、ゲール語の話者規模は、幸い20世紀初頭の規模をかろうじて維持できている状態である〔(英語)Ethnologue report for language code:gle 〕。その一方で、ブリテン諸島にいるケルト人はほぼ全員が英語を話している〔(英語)Ethnologue report for United Kingdom 〕。 以上のように、ケルト語派の撲滅に寄与している要因をまとめると、 * イングランドによるケルト圏の征服 * 官僚制度・教育・軍事といった分野において唯一の行政言語としての英語の押し付け * 最初はイングランドによる、そしてその後は英国による英語で管理される大英帝国 * 裕福な人と見なされる英語話者が、経済事情に隙間があるケルトの人々を魅了している。中央政府やアメリカ合衆国(当時は13植民地)・カナダといったアングロ・サクソン国の政府によるケルト民族への移住支援 * 経済活動・産業活動が主要な英語国の権力 * それに対立するケルト人は地方で貧困になる。 * 上述したような要素すべてを助長する文学や新聞などを通した英語の文化的名声 英国は産業革命を経て、世界の制海権を獲得する。七大陸にまたがる「太陽の沈まない国」ことイギリス帝国(大英帝国)を形成するに至り、英国は間接統治で植民地経営をするため現地の上流階級に英語でエリート教育を施した。その結果、英国の植民地が独立すると、そのエリートの末裔である少数特権階級のグループは、自らの権益を守るため英語絶対優位の社会を築くようになり、ESL国家が出現することになる。 ブリティッシュ・カウンシルによる「英語教育推進運動」 で、世界の英語教育の欧州型(モノリンガル型)教育モデルが確立し、英文教科書・教員育成・指導理論および方法(応用言語学)が非西洋地域にまったく適さないにもかかわらず、近代化・民主化を合言葉に英語は西洋型教育によって推し進められた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「英語帝国主義」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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