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薩摩藩第一次英国留学生 : ウィキペディア日本語版
薩摩藩第一次英国留学生[さつまはんだいいちじえいこくりゅうがくせい]
薩摩藩第一次英国留学生(さつまはんだいいちじえいこくりゅうがくせい)は慶応元年(1865年)に日本を密出国し、英国へ渡った19人の薩摩藩士から成る「薩摩藩遣英使節団」のうち、学生として現地で学んだ15名のこと。
== 概要 ==
1863年の薩英戦争を機に、薩摩藩では海外に通じた人材養成の気運が高まった。薩英戦争でイギリス軍の捕虜となった五代友厚は、翌1864年に、欧州への留学生派遣を強く推す富国強兵策「五代才助上申書」を藩に提出し、薩摩藩洋学校「開成所」教授の石河確太郎大久保利通に開成所の優秀な学生の派遣を上申した〔ザビエルそして洋学、留学生』第二章近代西洋文明と鹿児島(四)英国留学生とその文明観 ザビエル渡来450周年記念シンポジウム委員会図書出版 南方新社, 2000 〕。開成所は、薩英戦争後の藩の近代化政策の一環として、洋式軍制拡充の目的で1864年に創設された藩立の洋学養成機関で、語学のほか、砲術、兵法などの軍事学や天文、数学などの自然科学を中心に教えていた〔ザビエルそして洋学、留学生』第二章近代西洋文明と鹿児島(三)鹿児島の英学 ザビエル渡来450周年記念シンポジウム委員会図書出版 南方新社, 2000 〕。
選抜された学生たちは五代ら引率者とともに、元治2年(慶応1年、1865年)1月18日に鹿児島城下を出発。薩摩郡串木野郷羽島村(現在の鹿児島県いちき串木野市羽島)の港から船の都合により2カ月ほどの待機を経た後3月22日、トーマス・グラバーの持ち船であるオースタライエン号で〔密航出国した。
5月28日(旧暦)にイギリス到着後、一行19名のうち、引率係の新納久脩寺島宗則五代友厚と、通訳の関研蔵、年少の長沢鼎を除いた14名が、3か月の語学研修ののち、ロンドン大学ユニバーシティカレッジの法文学部聴講生として〔入学し、先に入学していた長州藩の留学生2名(井上勝と南貞助)とともに学んだ〔 林竹二、東北大学教育学部研究年報第16集、1968年〕。長沢はアバディーングラバーの家に預けられ、地元の学校に通った〔。大学では、英国軍事学の基礎とも言える歴史・科学・数学などを主に学び、約半数が経済的理由により一年後の1866年夏に帰国した〔。この間留学生と会った画家のジョージ・プライス・ボイスは美術評論家のウィリアム・マイケル・ロセッティ(画家ロセッティの弟)に宛てた書簡で彼らのことを「育ちがよく聡明で英語も少しわかる」と評している〔。
残留した学生たちは、学業のほか、欧州各地を訪問するなどしたのち、一部はシャルル・ド・モンブランの紹介でフランスに転学、森有礼鮫島尚信長澤鼎吉田清成畠山義成松村淳蔵の6名は、英国下院議員ローレンス・オリファントの「日本再生のために役立つ」という勧めに従い、オリファントが信奉する新興宗教家トマス・レイク・ハリスの教団「新生兄弟」のコロニーに参加するため、1867年夏にアメリカに移った。オリファントは留学生たちのことを「人に迷惑をかけることを嫌い、世間知らずで、真実で愛すべき誠実な人たち」と評し、留学生たちにハリスの教えこそ「外国から日本を守る唯一の道」と説いて勧誘した〔。教団コロニーでの自給自足の共同生活は、学資の尽きてきた留学生たちにとっても好都合であった〔。また、英国で1年を過ごした時点で留学生たちはキリスト教文明社会について懐疑的になっており、オリファントらの影響もあってか、欧米諸国の欲心にのみとらわれて侵略行為を繰り返す弱肉強食的な体質を批判して学ぶべき点が少ないとし、「表面的には公平な英国もその実は技巧権謀に支配された不義不法の国」と国元に書き送っている〔ザビエルそして洋学、留学生』第二章近代西洋文明と鹿児島(五)近代西洋文明への批判 ザビエル渡来450周年記念シンポジウム委員会図書出版 南方新社, 2000 〕。
同教団には、森らの勧めで、薩摩藩から新たな留学生たちも参加した(薩摩藩第二次米国留学生)。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「薩摩藩第一次英国留学生」の詳細全文を読む



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