|
虹彩認識(こうさい にんしき、 )とは、生体認証技法の1つで、個人の目の虹彩の高解像度の画像にパターン認識技術を応用して行われる。虹彩認証(こうさい にんしょう)とも。網膜スキャンとは異なる。虹彩の複雑な模様を画像として得るため、角膜からの鏡面反射をなるべく起こさないよう、かすかな赤外線照明を用いてカメラで撮影する。その画像をデジタルに変換し、数学的処理を施すことで、個人に固有な特徴を抽出する(これをデジタルテンプレートと呼ぶ)。 虹彩認識の認識力は、眼鏡やコンタクトレンズをしていてもほとんど落ちない。ほとんどの個人に適用可能な生体認証技術であり、1度デジタルテンプレートを作成すれば、外傷などを負わない限り、生涯に渡って利用可能である。 虹彩認識を実現するには、高精細な画像撮影技術と1対多マッチングの技術(高速な比較技法)が必要とされ、John G. Daugman(ケンブリッジ大学コンピュータ研究所)がこの分野の基本特許を取得している。それを利用して韓国のLG電子が虹彩認識システム()を設計開発し、それが商用化の端緒となった。Daugman のアルゴリズムは、(2006年現在の)商用虹彩認識システムのほとんどすべてで利用されている。誤認率は極めて低く、実際に Daugman のアルゴリズムで別人の虹彩を同一と判定した例は知られていない。評価では(比較のために)マッチングしきい値が 10-3 から 10-4 とされた〔FRGC and ICE Workshop 〕。IrisCode の相違認識率は、指一本での指紋認証とほぼ同程度とされている〔FpVTE 2003 〕。 == 原理 == 虹彩認識アルゴリズムでは、まず画像の中から虹彩に相当する部分を抜き出す必要がある。次に、虹彩部分だけの画像をあるビット列に変換する。このビット列には他の虹彩画像との統計的に意味の有る比較が可能なだけの基本的情報が含まれている。このような写真画像の非可逆な圧縮に数学的手法が使われている。Daugman のアルゴリズムでは、ガボールフィルタによるウェーブレット変換を使って、現状のカメラの解像度を考慮した最善のSN比を持つ空間周波数範囲を抜き出す。結果として、虹彩画像のローカルな振幅と位相情報を含む複素数群が得られる。Daugman のアルゴリズムでは、全ての振幅情報が捨てられ、結果として得られる 2048 ビットには、虹彩画像のガボール領域表現の複素数の符号ビットだけを含んでいる。振幅情報を捨てることで、照明の変化や虹彩の色の影響をなくし、生体認証情報として長期に安定して利用できるテンプレートとなる。個体識別(1対多マッチング)や個人認証(1対1マッチング)に利用する場合、虹彩の画像からテンプレートを作成し、データベースに格納されているテンプレートの値と比較する。それらのハミング距離がしきい値より小さければ、一致していると判断される。 虹彩認識の実用上の問題として、虹彩が意識して目を広げない限り、まぶたやまつげに一部が覆われている点が挙げられる。誤って不一致とされる可能性を減らすためには、まぶたやまつげに覆われている部分を識別して除外し、それ以外の部分だけでテンプレートを作成して比較するという追加のアルゴリズムが必要となる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「虹彩認識」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Iris recognition 」があります。 スポンサード リンク
|