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蛇行剣[だこうけん] 蛇行剣(だこうけん)とは、古墳時代の日本の鉄剣の一つ(大きさによっては鉾と捉えられている)。文字通り剣身が蛇のように曲がりうねっている(蛇が進行しているさまの如く)形状をしているため、こう名づけられている〔後藤守一によって、「蛇行曲身剣」と名付けられた事から始まる。参考・伊藤雅文 『中部地方出土の蛇行剣』より。〕。 == 概要 == 西日本を中心に出土している鉄剣で、その形状と出土数から実用武器ではなく、儀礼用の鉄剣と考えられている〔田中茂の研究によれば、「蛇行剣は利器としての性格よりも呪術的役割を目的として鍛造され、一群の司祭的立場にあった人物のもと保管されていた」と解釈する。参考・伊藤雅文 『中部地方出土の蛇行剣』より。〕。古墳や地下式横穴墓群などから出土している。九州地方発祥の鉄剣と考えられているが、5世紀初頭には近畿圏にも広がりをみせている(備考参照)。古墳時代における日本独自の形状の鉄剣・鉾と言う意味から、考古学上、重要な資料となっている。 古くは1925年(大正14年)に日向浄土寺山古墳(現延岡市、南方39号墳)から出土しており、鳥居龍蔵によってインドネシアのクリス短剣を連想するものと語られ、東南アジアにその性格(蛇信仰など)を求めるものと考察され、注目された〔ただし、クリス短剣は今もその信仰が忘れ去られていない文化であるが、蛇行剣は4世紀から6世紀の遺跡から出土し、以降は呪術的意味が忘れ去られており(風土記に断片的な記録が残るのみ)、また、確実に判明している年代においても蛇行剣の方が古い。蛇行形状の武器という点でも、実質上、日本の蛇行剣は世界的に古い部類に入る(中国の蛇矛、ヨーロッパ圏のフランベルジェも参照)。〕。その後、1986年に楠元哲夫の考察から倭国の特異な武器として認識されるようになり、武装としての意味も考察されるようになるが、資料の少なさと南九州に偏って出土する等から、性格は必ずしも明らかではないとされる。 こうした蛇行形状の剣・鉾(剣身が短いものは長柄武器と見られる〔柄が長くなって重い分、バランスを取る必要性もある。〕)の出土事例は2008年時点で、70本近くあり、本州から37本が出土し(この内、中部地方出土のものは12本)、残りの半数は九州、特に南部地域に集中し、広域に分布を見せながらも、南九州に集中しているという空間的に限定された二つの背反する現象があり、伊藤雅文は複雑な性格を有する遺物であると見解を示している。 大きいものは、奈良県北原古墳出土のものや三重県松阪市天王山1号墳の出土のもので、全長80センチを超える。静岡県袋井市石ノ形古墳出土のものは鉄素材の分析が行なわれており、通常の剣より炭素分が少ない結果が出ており、蛇行形状を作る為、柔らかい鉄にする工夫とみられる。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「蛇行剣」の詳細全文を読む
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