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蛸芝居 : ウィキペディア日本語版
蛸芝居[たこしばい]

蛸芝居(たこしばい)は、上方落語の演目の一つ。主な演者には、6代目笑福亭松鶴5代目桂文枝などがいる。
この作品は初代桂文治の作といわれて、後世に改作などを繰り返し現在の形になったとされる。
== あらすじ ==
昔は、医者が四方八方に居る訳ではなかったため、何とか病を自分で治そうと「民間療法」が発達していた。
例えば、食あたりした場合は、黒豆を三粒を食べる』…といった感じだ。〔現在ではこの民間療法が一般的でなくなったため、「黒豆三粒」のくだりを言わない場合もある。〕
しかし、世の中にはどんなに治療をしても、決して治らない病と言うものもある。
それが…『恋わずらい』マニア
この噺の舞台となる砂糖問屋さんも、主はもちろん番頭丁稚女中乳母さんにいたるまで、家内中が揃ってみんなが芝居好き。
例えば…。朝、店員がなかなか起きなくて困った時は、主自ら『三番叟』を踊って店員を起こすのだ。
【 おぉ~そいぞや、遅いぞや、夜が開けたりや、夜が開けたりや。丁稚、乳母、お清ぉ~、起きよぉ~ッ…♪  】
確かに、こんな風にド派手に起こされたのでは、いつまでも寝ている訳には行かないだろう。
丁稚の定吉・亀吉のコンビが主のアイディアと踊りに感心して、布団の中から「うぉ~い、三番始まり~」
主に怒られてしまった。
「さっぱりワヤやで…」
表を掃除するように言いつけられ、外に出た所で…二人の芝居が幕を開ける。
「寒さをしのぐ茶碗酒」
「雪と遊ぶも一興か」
「さらば、掃除に…、いや掛かろぉ~かい~ッ」
向かいの路地を花道に見立て、奥に引っ込もうとした…ところで、また主に見つかって怒られた。
「さっぱりワヤやで…」
亀吉は庭の水撒き、定吉は仏壇の掃除を言いつけられ、定吉一人が仏間へと入っていく。
「え~、これは誰の位牌かいなぁ?あッご隠居はんや。なぁ、えぇ人やったなぁ」
よく天王寺参りに誘われ、帰りに茶碗蒸しをご馳走になったっけ。そんなことを考え、次の位牌を見るとこれが何と大嫌いな婆の位牌。
「死んでも頭痛患うよぉに、位牌ひっくり返しといたげま…」
掃除をしているうちに、また芝居がやりたくなってくる。『位牌を使った芝居』は無いかと考え…。
「回向院殿貴山大居士様…。先年、天保山行幸(みゆき)の折、何者とも知れぬ者の手に掛かり、あえないご最後。
おのれぇ、やれとは思いましたなれど、まだこの定吉は前髪の分際。
その前髪を幸いに、当家へこそは、入(い)り込みしが、合点のゆかぬはこの家(や)の禿げちゃん。
今に手証を押さえなば、禿げの素(そ)っ首討ち落とし、主(しゅ)らのご無念、まッ晴らさせましょ~」
言った途端にその『禿げちゃん』がやって来て、定吉の頭をがツン!
「もぉここはえぇさかいな、乳母どん用事や、坊(ぼん)の守を替わんなはれ」
と…言うわけで、今度は赤ん坊のお守りをやる事になったのだが…かつては『太閤はんも嫌がった』というこの仕事の気晴らしに、また芝居をやりたくなってきた。
今度は【都落ち】の芝居をしていると、たまたま通りかかった亀吉がその様子を見て悪戯心を起こし、棒切れを持って定吉の背後に…。
「いやぁ~ッ!」 「でんでん太鼓ぉに、笙の笛ぇ~!」 「いやぁ~ッ!」
捕り物の芝居になってしまい、勢いで赤ん坊を放り出してまた主に怒られてしまった。(なお、現在行われているこの演出は、元々は、陽気な芸風が中心だった浪花三友派の噺家によるもので、対抗勢力で、正統派の落語をもって任じていた桂派では、「なんぼ受けるか知らんが、赤ん坊を放り出す(ほりだす)とは無茶苦茶や」として、仏壇にある仏像を放り出す演出をとっていたと言う)
「さっぱりワヤやで…」
今度の指示は、二人そろってお店番。『芝居をしたらクビにする』と主に言われ、二人のフラストレーションは溜まるばかり…。
「ほなこぉしまひょか、外から入って来るやつに芝居さしまひょか」
「そんなことが、できまっか?」
表を見ると、丁度、魚屋の魚喜が荷を下げてこっちに来たところ。あいつも芝居マニアなので、『掛け声』『ツケ打ち』で芝居をやらせようというわけ。
「へッ、魚喜よろしゅ…魚屋ッ!」
魚屋もすっかり乗せられてしまい、奥から出てきた主に「旦那さま。今日は何ぞ、ご用はごわりまへんか?」。
「もうええかげんにせぇよ。で、今日は何があんねん?」
「えー。ゴザ(五座)をハネのけまして、市川海老十郎中村鯛助嵐蛸助…」
歌舞伎の『拾い口上』のつもり。呆れながらも主がオーダーしたのは、『助』と『蛸助』だった。
注文を受けた魚屋は、鯛を井戸側へと運んで早速を剥がしにかかる。そのうち…丁稚のクセが乗り移ったのか、魚屋も芝居がやりたくなった。
仮名手本忠臣蔵、六段目の勘平の切腹…良かったなぁ。『勘平、血判』 『血判、確かにぃ』…血だらけや!」
手を振った拍子に、釣瓶に手がぶつかった。釣瓶は空回りして、井戸の中へドボ~ン!
これを見るなり魚屋、井戸側へ片足掛けて…。
「はてッ、怪しぃや~な~ッ!」
何処にいたのか定吉が飛び込んできて、「訝しやなぁ~ッ」
今度は、女中のお清を交え、【幽霊が出たシーン】を大熱演。そこへ主がやって来て、魚屋にが荷の中からハマチを咥えて逃げた事を告げた。
「後を追ぉて…、あ、そぉ、そぉ~じゃぁ~ッ… 」
ハスッカイになってビュー…!!
「あ、この定吉も…」 「これ、定吉。血相変えていずれへまいる?」
とうとう主まで釣り込まれてしまう。正気に戻った主は、定吉に酢蛸に使う酢を買ってくるように命じ、台所でタバコをふかし始めた。
「『わしを酢蛸にする』『旨いお方じゃ、蛸をあがれ』。あがられてたまるかい…、シ~ンとしたな、よし、この間に逃げたれ」
一部始終をズ~ッと、台所の方で聞いていた蛸が、足を二本、すり鉢の下へグッと掛け、ボチボチ持ち上げ始めた…。
足を二本前へ回しましてグッと結び、丸絎(まるぐけ)の帯のつもり。蓮華を腰へ指して刀に見立て、布巾でキリキリ~ッと頬被りをし、目計り頭巾というやつ。
出刃包丁を取り上げると、台所の壁の柔(やら)かいとっからボチボチ切り破りだした…。
「何や? 台所の方がガタガタとうるさいなぁ、どないしたんや…?」
様子を見ると、何と蛸が歌舞伎の泥棒の真似をして、台所から逃げようとしている所。
「逃げられてたまるか!」。そのまま追いかけたらいいのに、主はわざわざ日本刀を持ってきて、蛸の後ろにソロソロと…。
それに気づいた蛸は、上を向いて墨を噴水みたいにビュー!! 一気にあたりが暗転して、『だんまり』になった…。
「いやぁ~ッ!」
蛸が腕を伸ばすと、主の鳩尾に見事に命中。主はその場に倒れてしまう。
蛸は「雉も鳴かずば撃たれやしめえ。明石の浦へ。ちっとも早く、おぉ、そぉじゃ、そぉじゃ~ッ…」と逃げてしまった。
「え~、旦那、酢ぅ買ぉて来ましたで。旦さん、酢ぅ買ぉて…」
定吉が帰ってきて、目を回している主を発見。抱き起こすと…?
「さ、定吉か? 遅かったぁ~」
「あんた、まだ演ってなはんのんか、そないなってまで。どないしなはったんや?」
「定吉、黒豆を三粒、持って来てくれ」
「どないしなはった?」
「蛸に当てられた…」

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「蛸芝居」の詳細全文を読む



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