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血縁選択説[けつえんせんたくせつ] 血縁選択説(けつえんせんたくせつ)とは、自然選択による生物の進化を考えるには、個体が自ら残す子孫の数だけではなく、遺伝子を共有する血縁者の繁殖成功に与える影響も考慮すべきだとする進化生物学の理論〔West et al. (2007)〕。これによって、血縁個体に対する利他行動の進化を説明することができる。血縁淘汰説ともいう。 == 背景 == 自然選択説によれば、生物は自らの子孫をより多く残すように進化すると予測される。しかし、実際の生物にはしばしば利他行動、すなわち自分の繁殖成功を下げて他者の繁殖成功を高める行動が見られる。とくに顕著なのはハチやアリなどの社会性昆虫などに見られる真社会性であり、この場合には一部の個体(働きバチ、働きアリなど。一般にワーカーという)は全く繁殖せず、他個体の繁殖を助けることに一生を費やす。このような自分の子孫を残さない形質は、自然選択によってすぐに個体群から消えてしまうはずである。 自然選択説を提唱したダーウィン自身この問題に気付いていた。彼は、ウシの肉質に対する人為選択を引き合いに出して説明している。ウシの肉質がわかったときには、当のウシはすでに殺されているので、そのウシの子孫を直接増やすのは難しい。しかし育種家は、その家族を繁殖させることで、肉質のよいウシの育種を行っているのだ。この説明は驚くほど現代的な血縁選択説に近いが、一方で曖昧な部分もあった〔『新版 動物の社会』pp.3-5〕。 ダーウィン以降、利他行動は「集団にとっての利益」「種の繁栄」によって説明されてきた〔〔『性選択と利他行動』pp.380-385〕。この考えは、個体にとって不利益な形質でも、それが種や集団全体の利益となるなら、集団レベルではたらく自然選択(群選択)によって進化するというものだが、詳しく検討されたわけではなく、漠然と受け入れられていた。この状況を一変させたのがハミルトンによる血縁選択説である。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「血縁選択説」の詳細全文を読む
英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Kin selection 」があります。
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